――走って走って、
中庭へついた時には花子が虚ろな顔でぼーっと1人で木の下で涼んでいた。

…金太郎はどっか行ってもうたんか。

初めての喧嘩



「――花子!」

そうよぶと、花子がビックリしたような表情で俺のほうを見る。

「……こんなところで、何してんねん。」

「……別、に」

「――さっき、金太郎と一緒におったやろ」

そういうと花子は申し訳なさそうな顔をする。
…なんやねん。
謝罪の言葉なんて聞かへんからな。


「……ごめん。」

「…謝罪なんていらんわ。何で一緒におったん?」

「……それ、は…」

そういうと、花子は口を閉ざして黙った。
――なんやそれ。

彼氏の俺には言えへんことなんか?

「…もうええわ。
 お前…浮気、しとってんな」

「……っは?」

「最低や!
 俺はこんなにも好きなんに…お前、小悪魔や!」

「ちょ、何いって――」

「ドアホ!
 俺よりも、金太郎とチューして子供作ればええやん!

 ドアホー!」

そう叫ぶだけ叫ぶと、
謙也は私が止める間もなく走り去っていってしまった。

……っは?

ちょ、待って。



……チューして子供作る?


「おーい、花子〜」

「……白石」

気がつけば、
上で白石がこちらにむかって手をふっていた。

――ちょ、チューして子供って…!



「あんな〜、謙也な、
 信じられへんねんけどチューしたら子供できる思ってたみたいや!」

「……っは?!」

「せやから、俺がちゅーしたら子供できるいうたら、
 あいつほんまに信じたんやってー!」

謙也お前純粋すぎ!

それを聞いた瞬間に、
何となくいろんな部分が繋がった気がした――。

…だから、
謙也は今はチューはできないって言ったのか。

じゃあ…私のことを、思って?


「ほんますまんなー」

「白石、お前しばく

「あはは、怒ってもかわええから恐くないでー」

そういう声を無視して私は中庭をかけて、
謙也を追いかけた。

…もう、どこいったんだよ、謙也!




「……いやあ、2人が別れたら
 俺のせいやもんなあ。

 まあ…たまにはええんやないかな。こんなんも」

俺は花子が走っていくのを、
ぼーっとながめながらそうぼやいた。




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