「(き…キスしたら、妊娠…んなあほな…。)」

それやったら、
女からしたら――キス=赤ちゃん産んでもOKっていうことを
許可しとるもんっちゅーことやよな?!

花子は、
俺の気持ちが落ち着くまで待つって言うてた。

………俺の気持ちが落ち着くって、
そういうことやったんか、花子。


「(アイツ…赤ちゃんのこと考えて、
 ほんま偉いやっちゃ。)」

やばい、俺感動して涙でてきた。

せやけど、今キスしてもうたら、
花子は高校で赤ちゃん産まなあかんことになる。

…男やし、キスはしたい。
せやけど、花子の将来を失ってまですることでは…ないんやと思う。


「(俺は、キスせぇへんで、花子!
 高校2年辺りまで待ってぇや花子)」

どぎまぎ



「で、何で謙也はどぎまぎしてんの?」

「え?いや…何でもあらへんよ」

「ふーん…。何か隠してない?」

「な…なーんもかくしてへんよ」

やばい、バレバレや。
額から冷や汗もダラダラでとるし…。

キスの話題はださんようにしようと思った。

――妊娠させたらあかんもんな!



「謙也、何で雨降ってないのに傘さしてんの?」

「あ…。あーあー、えーっと…
 これは日傘や!」

「ビニール傘なのに?」

そういうと、謙也がうっと言葉をつまらせた。
――いつも通りに一緒に帰っているのだが、
謙也は何故かうじうじとしている。

???

どうしたんだろ、謙也。

――何かあったの見え見えなんだけど…まあ、
言いたくないなら言わせたらいけないのかな。

めっちゃくっちゃ気になるけどさ。



「……まあ、いいや。
 それより昨日の話しの続きなんだけどさ、」

そういって
昨日途中で終わった会話の『早く走るコツ』なんだけど、
もうすぐ体力測定だから是非とも知りたいんだよね…!


「――あかん!」

そういって、謙也が私を恐れるような瞳で見てくる。


「……え?」

「あかんで、花子…赤ちゃんは!」

「はあ?」

ごめん、わけがわかんない。

赤ちゃん?あかん?
はぁ?

ちょ、順序良く喋ってくれ、謙也。

「……ごめん、何いいたいかさっぱりなんだけど」

「せ…せやから、キスは……まだできへん。」



ガーンッ。

いわれようのないショックが自分にふりかかった。
き…キス、まだできない宣告された自分って…。

「……そっか。うん、わかったよ…。」

そういって私はとぼとぼと謙也より先に歩いた。

……こんなにはっきりキスできないっていわれて、
明るくいられるわけがない。


「(私…謙也に愛されてないのかなぁ。)」


…やばい。考えれば考えるほど涙がでそうになる。



「(あー、あかん…!俺、花子傷つけてもうとるし…!)花子…?」

「…………ん。」

「…………っ、」

やばい。会話続かへんやん。

――そうして、
今日は無駄な空白ばかりが続いた。

…堪忍してや、花子。

俺たちの…将来を考えてやから。
せやから…まだ、できんのや。


ごめんな、花子…。




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