「ユウジの……嘘つき…っ」

そういって――。
葛城は親指の爪をかんだ。

「……あの女、
 どうしてくれようかしら…っ」

私のユウジをたぶらかして――。

広がる波紋


「花子ー、ワイ腹減ったわー!」

「………」

「花子ー!なぁ、聞いとるんか!」

そういって、金ちゃんが私の肩をゆさぶってきたことによって
私の意識が元に戻る。

――っは!

やばい、昨日のユウジとのキスで
頭のネジが外れていたみたいだ。

…やばい、ぼーっとする。

"…これが俺の、気持ちやねん"。
って、嫌いってことではないんだよね?!

っきゃーきゃー!

やばい、凄く照れr「はいはい、はよ部活するでー」

「…………はい。
 分かった。分かったよ。

 分かったから私の首根っこ掴まないでよ。

後ろから蔵に首根っこを掴まれ、
見事にいいようにされている。

――っふ、今の私は何をされても怒らないんだからね。


「……っふ。ふふふふふ。」

「え、花子ほんま大丈夫かいや。
 おい、財前。解説してくれや。」

「謙也さん、これは完全に暑さで頭やられてるんすわ。
 っま、しゃーないっすわ」

そういって、
じゃれあっている2人を横目に私は部員達の洗濯物を物干し竿にかけていく。

うーん!エクスタシー!

っていっても、
ユウジは相変わらず部活には来ていない。

――というか、
葛城さんの相手をしなくちゃいけないから部活にこれないらしい。

…仕方ないとは分かっているが、
やっぱり…ユウジがいないと寂しいなぁ。

――それに、いつまでもこんなことを続けてなんかいられない。

早めに作戦を練らなくちゃ。




「よっしゃー!頑張るぞ、私ー!えいえいおー!」

「……気合い、入っとるばいね」

そういって、
たまたま通りかかった千歳君が私の顔を見てへらっと笑った。

「あー、千歳君。
 練習頑張ってね」

「はは。頑張るばい。
 …それよか、ユウジが最近部活にきとらんたいね。」

「………うん」

「何かあたと?」

――あった、といったらあったのだが。
…いくら千歳君でも、話せない。

本当は、相談にのってほしいのだが。


「……ん。まあ…うん、ユウジもいろいろあるんじゃないかな」

「……花子。
 何か…隠しとるばいね」

――あ、やばい。
千歳君には全然お見通しだったか…。

そうだよな。

才気煥発の極みの千歳君だもんな。馬鹿にしちゃだめだよね。


「……言いたくないことなら、無理にいわんでいいばい。
 ばってん、そのかわりいつでも花子の支えになる。」


――千歳、君。

君……。


本当はいいやつだったんだね!

どういう意味たい?

そういって、
微笑む千歳君の顔は物凄く怖かったです。

っひゃー…でも、
何となく自分に味方がいる、って思ったら凄く心強いなぁ。



「……ありがとう、千歳君。
 あ、今度肉まんおごってね」

「……っふ」

「え、今の千歳君?
 鼻で笑ったよね、ね?」

千歳君ってちょっと近寄りにくいけど
いい人だよね。

まあ、顔がもういい人なオーラがでてるけどさ。



……はーぁ、
やっぱり…みんなユウジが心配なんだなあ。


「(あ、そういえばみんなの使ったタオルが
 部室に山積みされてたなあ。取りに行こう)」

私は全ての洗濯物を竿にかけおえると、
そのまま部室のほうへと向かった――。



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