「……蔵、一体どこまで行くの?」

「………」

「蔵――?」

そうきくが、
蔵は無表情のままで、一切何も喋ろうとはしない。

…どこに連れてく気なんだろう。


胸がとっても痛い。

――今だから、ブン太の気持ちが分かるような気がした。



失恋って、凄く切ない。

塞がらない傷


「……花子、」

屋上へ私を連れて行くと、
蔵は掴んでいた手を離した。


「………蔵は、もしかして、
 私に言いづらかったんだよね」
「……え?」

「――ユウジと、あの子が付き合ってること。
 知ってて…言わなかったんでしょ?」

それなら何となくだが納得ができる気がした。
――勘のいい蔵だもん。

私がユウジのこと好きだ…っていうこと、
知っていてもおかしくはない。

…私、気を使わせてたのかな。

蔵に。



「……花子、俺は――「本当さっきは怒ったようなこと言ってごめん。私が、間違ってた。」……………。」

そう謝ると――。
蔵が、曖昧な表情をして微笑んだ。

…それにしても、
私失恋したんだな。

何回もそう考えたが、
いまだに失恋したことすら実感がわかない。


「――これ、使うか?」

そういって、蔵がティッシュを渡してくる。

「うん、貰うわ」

そういって、私は蔵からティッシュを貰うと、
鼻をちーんとかんだ。

これ、あげる。

いらんわ、ボケ。ゴミ箱に捨てや」

そういうと、
蔵が軽く私の頭にチョップをした。

……何だよそのチョップ。

いつもの30倍は優しいぞ。



「………蔵、」

「なんやねん…」

「失恋辛い。」

「………」

「ユウジのこと好きだった」

「………」

「ユウジのこと、忘れれな――「俺が、忘れさせたるわ」

強く強く抱きしめられたことにより、
私の頭は放心状態だった。

…ただ、この体温が心地よくて。

この優しさも心地よくて。


……このままずっと、離れないでほしいと思った。




「俺が……花子の傍におるから」


ユウジ以外の誰かを好きになれれば、
こんなおもい…しなくていいのに。




―――――
★あとがき

あとがきというかなんというか。
多分急展開で話しがついていけない方がいらっしゃいそうなので、
こちらのほうから説明を。

とりあえず、葛城は悪子ちゃんです。
そしてユウジにかなりぞっこん。
――ゆえに、間違った道を踏んでしまった、といったような感じです。
(あ、わからねぇか。)

――えー、
ユウジは好きで葛城を「彼女」と言ったわけじゃございません。

葛城が植木鉢を花子様に落とそうとしたのを見て、
『コイツマジで殺(や)る気だ…!』とあせったユウジが
花子様を守ろうと葛城の彼氏のふりをしています。


そして、白石は
葛城とユウジが付き合っていたことは知りません。

白石は葛城の危険性を知っています。
ゆえに、
彼の勘のよさゆえ――。

植木鉢を落としたのは葛城と察して、
『俺から一歩も離れるな』てきなことをいっています。

さーせん。

なんかよく分からないことが多い部分もありますが、
読者様の想像というお力で何とかしていただける部分も多数でてくるかと;

こんな頼りない宇佐丸の駄文ですが、
最後までお付き合いになってくださると嬉しいです。



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