つながれた手と手から感じられたのはぬくもり。

――と、少し緊張した様子のユウジの横顔が…とても愛しく感じた。

空回り恋愛



「……なぁ、花子」

「ん?」

「……俺たち、本当空回りばっかやったな」

そういって、笑うユウジにつられて思わず自分まで笑ってしまう。



「――本当に。」

「……せやけど、その空回りがあったからこそ…今の俺らがあるんやな。」

「……そうだね。私達…。
 何があっても、乗り越えてきたもんね」

思い出せば懐かしい思い出たち。

……今ではあんなに仲の悪かった益子とさえ
友達の関係になれた。

…変な世の中だ、なんて思ったりもする。



「……俺な、夢があんねん」

「夢?」

「――結婚や」

っぶ!
なんて正直笑いたいところだったのだが、
あまりにもユウジが真剣な顔で言ってくるので笑うことなんて出来なかった。



「……け、結婚?」

いや、そりゃあ私だって
ユウジと結婚することが望みだよ!夢だよ!

…けど、
ここまで堂々といわれたら――。

…逆に恥ずかしくなってくる。



「まあ、
 正確にいえば花子に俺の手がけたドレス着てウエディングロードを歩くんや。」

「………」

「真っ白なドレスやけど、
 遊びもかねて『小春』っていう文字を刺繍で「ユウジ?」っていうのは嘘やねん。」

――ユウジなら本当に
ドレスのどこかに刺繍しちゃいそうで怖い。

…まあ、小春は涙ボロボロ流してそうだけどさ。






「……あ、せや。
 そういえば、これ――」

「え?」

ユウジは私の手首を掴むと、
指につめたいものをはめ込んだ。


……これ、って…。


「……指輪。言うても、高くないねんけどな。
 ――大人になるまで、それで我慢してくれるか?」

そういうユウジ。

――指輪の裏には、
『Ageless love』と彫られていた。


「……この文字って、」

「『永遠の愛』っていう意味や。
 ……気にいらんだ?」

そういって、
心配そうに私の顔を覗きこむユウジ。

私はぶんぶんと首を横にふった。

――嬉しくないはずがない。
もらい物といっても、ユウジがくれたんだよ…?!


って、私何も用意…してないや……。


「……ユウジは、指輪用意してくれてたのに…。
 私は、何も…用意してない……」

そういうと――ユウジが目を細めて笑う。


「アホ。何もいらへんわ。」

「けど――」

「なら、これでええで」

そういって、ユウジは震える手を私の肩に置くと、
そのまま唇を優しく重ね合わせた――。





空回って、空回って。

時には傷付けあったりもした。


――そんな苦難を乗り越えて、今の自分達がいる。

そして――。

新たな道を、2人で歩き出そうとしている。





「(……ユウジって、キスする時いつもなんでこんなに震えてんだろ。)」

「(あー…やばい、めっちゃ緊張した!手汗やばいわ!)」





Fin.

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