「花子ー!ユウジー!おめでとーさあぁぁぁん!」

そういってクラッカーを鳴らす金ちゃん――。
私とユウジが付き合って一ヵ月後には、テニス部の部員達が何故だか記念日を祝ってくれた。

記念日パーティー



「………ユウ君、ほんま…ほんま成長して、よかったわね…」

そういって、涙ぐむ小春。
――ユウジと喧嘩していた小春も、
今では仲直りをしてすっかりこの調子に。

あの後、
ユウジの退部届けをビリビリに破り捨てて無事ユウジはやめずにテニス部で頑張っている。


「…小春ぅ!好きやぁ!」

そういって、小春に抱きつくユウジ。
って、ちょ、まてお前。

何故彼女を差し置いて小春に抱きついているの…?!
私、ここ…!ここだよ、ユウジ…!


「――あ。」

私の視線に気付いたユウジが、
気まずそうな顔をして私の隣にちょこんとたった。


「……すまんかった。つい…」

「……別にいいよ。
 ユウジが小春好きなのは今に始まったことじゃないしさ。」

――まあ、それなりには見慣れてきたし。
それに…ユウジの小春への想いは、恋愛とは違うって知ってるからこそ許せたりもする。


「まーまー、お2人ともケーキ食べてみんね。
 ほっぺもおちるくらい美味しいたい!」

そういって、千歳君が私達に切ったショートケーキを手渡してくる。
…これ、私達を祝ってるつもりなんだけど
一種の誕生会みたい。



「花子さん、それ…俺たちが作ったんすよ」

「せやで!俺たちの愛がこもっとるんや!
 な、白石?」

謙也黙れや。
 ――それより、ほんま…2人とも、おめでとさん」

そういって、蔵がニッコリと微笑んだ。
…傷ついた謙也が、その後ろで地味に「の」の字をかいてしょげている。

うわー。こりゃ蔵だって『黙れ』って言いたくなるよ。

うん。



「………白石、」

「ユウジ、ほんま気にすんなや。
 ――本人前で言うけど、俺は…まだ花子を諦めきれてへんから、
 もってかれんように気ぃつけや?」

そういって、ニヤリと笑う蔵。

……あ、れ?
ユウジ…の笑顔が、ひきつってる……?


「……は、あはは…。
 お前案外しつこい男えんな」

「お前に言われたないわ。――この鈍感男」

そう吐き台詞を言われるユウジ。
鈍感……か。

確かにユウジにピッタリな言葉だと思う。うん。



「……鈍感は、俺だけやないで。」

そういって、ユウジがちらりと私のほうを見た。


.

..

...




「っはー、みんな案外しつこかったね。」

「……ほんまやわ。
 俺らの邪魔したいだけやと思うけどな」

そういって、へらっと笑うユウジ。

――結局、パーティーは7時までやっていた。
…みんなどんだけどんちゃん騒ぎするつもりだ。

金ちゃんはたこ焼き作って食べまくってるし、
財前は携帯いじってブログ更新してたみたいだし、
謙也は消しゴム出して自慢してきたし、
その消しゴムを「ていやあぁぁ!」言いながら蔵が蹴りとばしてたし、
師範は相変わらずクールだったし、
小春は乙女だったし、
千歳君はケーキばくばく食べてたし。

……まあ、いいんだけどさ。






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