「そんで、葛城は入院することになった。
 …身体的なことだけじゃなく、メンタル的なもんでや。

 ……そんでしばらく間を置いて、
 …葛城は、俺の元へ帰ってきた」

「…………」

「………恋人にならんだら、花子に何するかわからんって…。
 いいよったんや、あいつは…っ」

――自分の体がわなわなと震えていることが分かった。
…私は、知らないところでユウジを傷つけていたんだ。

ユウジは…知らないところで、私を守っていたんだ。

私の心配を、していたんだ。


「……ユウジ、」

「……なぁ、花子。俺のこと…信じてくれるか。」

2度目の恋


「信じるよ。私は、ユウジを信じる」

そういうと――。
彼は目を細めて、複雑そうな表情をしながら微笑んだ。

「……嬉しいわ。ありがと、花子」

「……ううん。それより、どうするの?
 作戦か何かは立ってるの?」

「いや…何も。
 葛城が凶器もっとる限り、下手に行動はできへんしな。」

そういって、2人でううーんと頭を捻る。

……葛城さん、
自分のお腹刺したっていうことは…死ぬ気だったんだろうなぁ。


「…葛城さんは?」

「……帰ったわ。
 今日は家の用事があるとかどうとか言うとったな」

「……そっか。」

――何だか、久しぶりにユウジと話したような気がする。
…きっと、
こんなに話せるのは今日みたいな日くらいなんだろうなぁ。

明日からは、
きっとまた…別々に分かれる日がくる。

……ユウジを、早く自由にしてあげたい。


「……なぁ、花子。
 怒らんと聞いてくれるか?」

「………うん?」

「……あんな。
 お前、丸井とちゅーしとったやんか。」

「う…うん……。」

あんまり触れられたくない話題だなぁ…。


「……ほんまはな、
 俺のが先やってん。」

「…………っ、え、ええええ…っ?!」

ちょっと待って…!
どういうことだ?!

頭が真っ白になる。

「――花子が熱で倒れた日、
 俺が看病してて…そんで、
 薬なかなか飲まんから口移ししてもうて……」

「…………」

「……本当、すまんかった。
 黙っとるわけにもいかん思って…、」

「……ユウジ」

――自分の顔がほてっていくのが分かった。

…ブン太のことを悪く言うつもりはないけれど、
私は…ユウジがファーストキスの相手だったらいいな、ってずっと思ってた。

…だから、今の暴露を聞いて物凄く顔がにやけている。

嬉しい。
――私のファーストキスの相手は、ユウジ…なんだ。

「…私は、嫌じゃないよ」

「………え?」

「だから、ユウジとキス。
 嫌じゃ、ないよ……」

って、
何故そんなにジロジロ見るんだ…!

恥ずかしい、恥ずかしすぎる…!

「――なぁ、花子」

「………は、はい。」

「……目、閉じてくれる?」

そういって、
ユウジに言われるがままに目を閉じた――。






唇に触れた優しくて暖かい感触。

大切なものを扱うかのような、優しいキス。

――私の腕を掴んでいるユウジの手が震えていることが分かった。


……ユウジ、緊張してるんだ。
って、私も人のこと言えないんだけどさ。


ほんの数秒のことだったのかもしれないが、
私には何十分もの時間に感じられた。

…やばい。
恥ずかしすぎて顔が真っ赤だ。


「……これが、俺の気持ちやねん。」


そういってユウジが顔を真っ赤にしていった。






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