「あー、めっちゃ美味しかった。
 ほんまおおきに、花子!」

そういって、ユウジが笑う。
――この笑顔が見れるなら、私毎日でも料理作っちゃうんだけどな…!

夜のお泊り


私の手料理を食べるだけ食べて、
ユウジは家に帰宅。

――私が部屋に戻り、
しばらくして母親が家に帰ってきた。

…あー、それにしても暇だなぁ。

ほんっと、暇。

そう思いベッドの上でゴロゴロしてみる。


…んー、友達からもメールこないし
やることないし…あー、ユウジと話したい。

そう思った瞬間だった。


コンコンッ。

と、窓を叩く音が聞こえてくる。

ガラッ。

カーテンをあけて窓を開けると――。
ユウジがこちらに「っよ!」といって笑う。

…何なんだ、その笑顔。

可愛すぎ。かっこよすぎ。

夜中になると、ユウジはバンダナを外すからギャップがある。
――それに、お風呂上りだからぺしゃんってなった髪の毛が…!髪の毛が…!


「なあ、そっちの部屋行ってもええ?」

「あ、うん。いいよ。」

そういうと、ユウジはひょいっと軽々に自分の部屋から私の部屋へ、
窓を伝って入ってくる。

…家が隣同士で、部屋も隣同士ってさ。

運命共同体ってこのことをいうんじゃないのだろうか。



「なぁ、今日一緒に寝たいんやけど…」

「――っは?」

ちょ、待てーい!
その言葉を聞いて下ネタ的なことを想像した私どうすればいいんでしょうか。

「なぁ、ええやろ。ええやん!」

「――っ、いやいや、
 私達性別違うじゃん…?!」

「そういう問題じゃないねん!」

そういって、ユウジが私の両肩をガシッと捕まえてきた。




「……怖いねん。」

「……っえ?何が?」

「せやから、貞子。
 めっちゃ怖いねん…!」

何を話しているかさっぱりつかめない。
…さ…貞子?え?

あの井戸から出てくる髪の長い女の人だっけ?


「い…いや、それがどうしたの?」

「さっきな、
 財前から動画添付されたメール来てな、開いたら…。

 呪いのビデオやってん。

「あぁ、なるほど。」

――財前ならやりかねないよね、ほんと。

「花子も見る?
 めっちゃ怖いで」

「遠慮します。」

私本当ホラーだけは苦手だもん!
ま…まあ、ユウジと一緒ならいいなんて思ったりもしたけどね。ちょっとだけね。


「あ、なら一緒にDSのお友●コレクションやろうや。
 俺、むっちゃ花子に似とるキャラつくってんで!」

そういって、ユウジがDSをとりだすと、
私と似ているとかいうキャラを見せてくる――。

…わあ。

顔真四角だし。
ユウジにはそんなふうに見えてるんだ、私。

「どや!これ、部員にも人気やってんで!」

そっか。じゃあ、私寝るから」

そういって、ベッドに入って寝たふりをする。
――もう、知らない。

どれだけ一緒にいても、歳をとっても私達は変わらずにこのまま。
――恋愛も、発展しないまま終わるんだろうなぁ。


今日まで私はそんなことを思っていた。

…あんなことが起こるとは、知らずに。


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