「――なぁ、花子。
 俺な、小春のこと大好きやねん!

 小春が女やったら最高ねんけどなぁ。」

ユウジは、女心を何も分かっていない。

幼馴染な二人


「小春〜!」

「ユウ君〜!」

あいも変わらず、ラブラブなこの二人。
――あー、小春めっちゃいいなあ。

ユウジに抱きつけて…んでもって、ユウジのあの幸せそうな顔。

…はぁ、私は所詮小春には及ばないんだよなあ。

そう思いながら、私は部員達の洗濯物を洗濯機から取り出す。



――四天宝寺でマネージャーをして3年目。
最初のうちは、女子の目が怖かった。

悪口言われたり、机に「ブス」って大きく落書きされてたり、
酷いときは直接呼び出されて殴られたり。

…そんなことを繰り返しているうちに、

蔵が私の異変に気付いてくれた。


んで、女子達が私の机に落書きする瞬間を見張って、
捕まえて――…そして、その女子達に蔵は「花子に近づいたら俺が許さん」って言ったらしい。

…蔵が怒るって何か珍しいよね。
普段あんなに温厚っていうか、優しいのにさ。


「花子、何しとるん?」

「ん?洗濯洗濯。
 蔵は試合しなくていいの?」

「今は試合入ってないねん。
 後2試合はあくから、ここにおってええ?」

そういって、蔵が隣に座ってきた。

――こうやって見れば、
確かに蔵はかっこいいし優しいし…。

でも、やっぱりユウジのほうがいいんだよね。

なんでだろ。

恋って、恐ろしい。



「――っな。
 今、ユウジのほう見とった?」

「み…見てない見てない!
 何を言ってるのかな…?!」

そういって、慌てて全否定する。
――…いまだに、この恋を誰かに相談したことがない。

だって、ユウジだもん。
私とユウジは幼馴染で、家が隣あってて…そんでもって、夜自由に部屋を行き来したりするけどさ。

…どうしても、それ以上に発展することはない。


幼稚園のころから、
ずっと一緒だった私達。

双方の親にも、
「付き合えばいいんにね。」って言われたことがあるが、
ユウジはこういった。


『つ…付き合うわけないやん!
 嫌や、こんなやつ!』と。

まあ、小学校低学年のときぐらいに言われた言葉だから
向こうは覚えているかわかんないけどさ。

――自分がどれだけ落ち込んだことか。



「あ、花子。
 俺も手伝うで」

「あ、ありがと…」

そういって、洗濯物を干すのを手伝ってくれる蔵。
――ユウジより、蔵のがよっぽどいいのになぁ…。


「あ、今俺のこと見てたやろ?」

そういって、意地悪くニシシと笑っている蔵。


「み…見て………、ました」

「…っぷ。素直やな、ええ子ええ子」

そういって、蔵に頭を撫でられる。
――こんなところ、女子に見られたら八つ裂きだろうなあ。

嫌がらせとかもう随分されてないけどね。



「なぁ、花子。話したいことあんねん。
 あんな――「おーい花子!そろそろ帰る用意しぃや。」

「うん、わかった」

そういって、突如現れたユウジにより蔵の話しが中断された。
…まったく、迷惑なやつ。


「あ、蔵、ごめん。
 で、話しって…?」

「あ、なんでもない…ねん。
 別にどーでもええ話しやから、気にせんで」

そういって、微笑む蔵。
…うわぁ、かっこいい!このスマイルにどれだけの女子が惚れたことか!


「…ん、そっか。分かった。
 あ、洗濯物手伝ってくれてありがとね!」

「おお、ええよええよ。そんくらい」

「――っじゃ、私先に帰るね」

そういって、素早く制服に着替えたユウジが大きく手を振っていることに気付いた。

……やっぱり、好きだなぁ。
ユウジのこと。


「おーい!はーよはーよ!」

「あ、はいはーい!」

そういって、私はユウジの元へと駆け出した。




「(…ユウジ、か。
 アイツが自分の気持ち気付いたらめんどうやろぉなあ…。)」

そういって、白石は頭を傾げたのだった。


- 2 -


[*前] | [次#]
ページ:




「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -