ミルキ「はぁ…」

アメ「溜め息なんてついてると、幸せが逃げるぞ?(笑)」

ミルキ「逃げる理由の大半はアンタだけどな」

アメ「なるほど、逃げた幸せは俺に来ているわけだ」



店長め…!うまいこと言いやがって!!恨めしそうに店長を睨めば「そんな表情のミルキも可愛いよ!」なんて口説かれた。全くこれだからイケメンは!!

あ…そういえば、アメさんに聞かないと思って忘れてたことがあった。







ミルキ「店長、ここら辺で制服で通う学校ってありましったけ?」

アメ「急にどうしたの?あ…もしかして、制服でも着たくなったの!?

教師と生徒の禁断の恋を俺としたくなっちゃった!!?」

ミルキ「相変わらず残念なイケメンですね。店長」






アメ「冗談はさて置き、急にどうしたの?学校でも通いたくなった??」

ミルキ「そんなんじゃなくって……。この前店長が買出しに行った日に制服着た同年代のお客さんが来たから気になって」

アメ「ふ〜ん…、でも…可笑しいな。ここら辺は基本的に通信教育だし…

学校はあってもほぼ私服でしょ?…ジャポンじゃあるまいし、…」




うーん…と悩み始める店長。あぁ…こんな時、携帯でもあれば直接聞けるんだけどな。

でも絶対にアメさんは「まだミルキちゃんには早いでしょ!」なんて言い出すに違いない。後、アメさんの事だ毎日メールチェックとかしそうで怖いです。











その時慣れ染んだ音が店内に響き渡った。カランカラッ…と言う扉に着けられたベルの音、同時にゆっくりと流れ込んでくる外の空気と見覚えのあるお客さん。

数日前に訪れた噂の二人の姿がそこにあった。




ミルキ「唯、遊……!」

唯「久しぶり…」

遊「お久ぁ…、ミルキちゃん」





きっちりと皺一つ無い黒のセーラー服姿の唯と学ランの裾から覗く白いカッターシャツとだらんっ…とした格好の遊。

まさしく、数日前と同じ二人の姿がそこに存在した。私は嬉しくなって…カウンターから二人に近付こうとしたその瞬間、店長に止められた。

何故…?言う視線を向ければ、店長は自分の視線を無視する感じで二人に問いかけた「なんで此処に情報屋と運び屋がいるんだ」と…。

情報屋?運び屋…?一体何のことだと…私は聞きたかったのに三人は更に話を進める。





遊「なんでって…確かめに来たんだよ。」

アメ「確かめに…?」

唯「ミルキちゃんの事……」






どきりっ…と心臓が跳ねた。情報屋、運び屋、…確かめに来た。このキーワードを合わせれば少しずつ答えが見えてきた。

二人は自分になんらかの目的があって近付いてきた。それは……つまり、兄貴の依頼で来たって…事なのか?

兄貴は俺を連れ戻そうとしている…?そう思った途端顔から血の気が引いていく………困惑の表情とパニックを起こし始める。

もしも、もしもと…嫌な答えばかりが出てきて………、その時…聞こえた柔らかなハスキーボイス。すっ…と、顔を上げれば柔らかな表情を浮かべた青年が居た。





「残念ならがゾルティック家は微塵も関わってないから安心しなよ……ミルキちゃん」

ミルキ「え…?」

一華「初めまして、ミルキ・ゾルティック殿。僕は美影 一華(みかげ いちか)と言う者です。

突然の訪問で驚かれたでしょうが、どうかご安心ください…と言っても無理でしょう」





いつの間にか現れた幼い顔つきの青年、歳は幾分か自分より上だろう。それより、何より目に行くのが…金色の隻眼。

一目見ただけでその色に魅入られた。とても、綺麗な瞳で…何より…濁りが無くどこまでも真っ直ぐな瞳に目を逸らすことが出来なかった。

目以外にも、呼吸、唇、瞬き、腕、足、全ての感覚をこの青年に奪われてしまったのではないかと錯覚してしまう。

動けと命じても、身体は命令を無視するように動こうとはしなかった。だから、視界を遮られるまで…約30秒、呼吸すら満足に出来ていないことに気付く。




アメ「………っ!ミルキちゃん、一華の目をずっと見ちゃダメだよ」

ミルキ「…はっ…はぁ…っ……、アメさん……」

一華「…なんだか、ごめんね?…僕達は別に君に何かをしたいってわけじゃなくって…唯…旧友に会いに来ただけなんだ」




困ったように笑う一華に、私は…じゃあ…二人は……と聞いた。すると、意外な答えが返ってくる。






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