お弁当が出来た頃には弟子組であるマシロとハヤトが戻ってきた。ファイの存在に驚きながらも、自分の好きな料理をしている場面に交ぜてもらえなかった事が不服だったらしい。

年相応の顔で拗ねていたので、それを見たマシロは「普段からそんな顔してりゃ良いじゃねぇか」と言って拗ね顔のハヤトの頬を抓った。

どうやらハヤトの頬の柔らかさが気に入ったようだが、ハヤトには堪ったものではない。そんな二人に私達は笑い、出来上がった弁当を持ち…屋敷を出た。

今日の夜、火の国で流れ星が見ることが出来るらしいので非番のハヤトや木の葉に帰ってきていたマシロ、それから無理矢理ファイを誘った。

だけども…夜ならば昼に集まる必要性はないのでは?と思うだろうが、そんなことはない。ただ、星を見るのは口実だ。本当の目的は………






「お前の師匠にしては気力がないな」

「…やっぱり、そう思うか?いつもなら馬鹿みたいにテンション高いのに」

「今なら日頃の恨みでも晴らせるだろ」

「ちょっと待てください…俺、マシロさんに師匠のこと言った覚えないんだけど」

「まさか、師弟のVDなんてものが存在したとはな」

「誘導尋問か!!?」

「忍ならそうやすやすと引っ掛かるな。ソフィア様と会話して見ろ、いつの間にか大変な秘密まで暴露させられるぞ」




「既に被害者がいた!?」

「因みに、火影の爺が隠し通してきた恥ずかしい丸秘秘話までばっちし知ってた」

「なにそれ、凄い知りたい!!」







と、まぁ…お分かりなったでしょうか?後半部分は全く関係ないのですが…。つまりは、元気の無いファイに元気になってもらおうと……その、…今日は誘ったんですが……。

別にファイが元気が無いのが寂しいとか思ってませんからね。ただ、ファイと同じ世界住む一華が煩いからですから!決してファイの為とか、そんなんじゃ…ないんだから…。

レジャーシートを引き終えた後、四人でその上に乗り風で飛ばないよう抑える。

近くに良い石がないので…マシロがクナイを取り出し地面に突き刺す、と言う荒業に出るのを全力で止めるハヤトを視界の端に捉えながら、重箱を広げる。

玉子焼きやたこさんウインナー、かぼちゃのサラダや茹でたブロッコリー。煮物や漬物…それからおにぎりなどの沢山のおかずを入れた。





「え…、師匠料理出来たんですね」

「お前よりな」

「はい。箸と紙皿です」

「ありがとうございます」

「ソフィア、お茶ある?」

「どうぞ」

「おう、ありがと!…くっ…キンキンに冷えてるな!!」

「風呂上りの親父かよ」

「んだとッ!飯食ったら相手しろよ、マシロ!!」

「絶対負かす」

「仲が良いですね」

「「何処がッ!!!(ですか)」」




「本当だ。息ぴったり」(モグモグ

「ですね」(ずずっ……




ガンを飛ばし合うマシロとファイ。それを傍観しながら暢気に弁当を摘み、お茶を啜る私とハヤト。随分温度差があると思ったが、まぁ…良いか。

その後は多めに作った弁当も全て平らげ、食後の運動と称して…二人の乱闘が始まったところだ。しかもお互いに得物を出し、ほぼ本気で……。


全く…あの二人はこの森を消し炭にでもするつもりでしょうか。





「止めなくて良いのか?」

「構いませんよ。それに、マシロ相手に考え事が出来るほどマシロは優しくない。どんな状態であろうと容赦なく相手を攻めていきますよ」

「………馬鹿みたいに真っ直ぐだな」

「それが、愛染……いえ…はたけマシロと言う人間ですよ」

「思ったんだけど…マシロさんが苗字を変えてた理由って、髪の毛染めた理由と関係あるの?」

「染めた…と言うか、元の色に戻ったと言うか。







強いて言うなら…マシロなりの過去との決別、けじめですよ」





マシロは過去を過ぎ去ったモノにした。割り切った。別れたのだ。運命なんて言葉を破棄したのだ。しかし、ながら…運命なんてものをマシロ自身は信じてない。

言うならば、マシロではなく…マシロの母親がそれを”運命”として完結させたのが悪かったのだ。

生まれて間もない…何も知らない赤子だったマシロに教え込まれたそれは、あまりに残酷な真実と現実。真っ直ぐ信じたマシロは運命と言う言葉で片付けようとした。

だか…その運命と言う言葉を打破したのが、うちはイタチだった。彼がマシロの運命を変え、その運命と言う歯車を壊した人物。それがうちはイタチ。


一息入れるようにお茶をごくりっ…と飲んだ。氷が溶けたお茶の味は少し薄かったが…飲めないわけではない。




「それに、愛染の名は…知られ過ぎて逆に仕事には使えないらしいですよ」

「なるほど…知られ過ぎた名の所為で敵の脅威が増えるってわけか」

「えぇ……。あ、…マシロが圧されてますね」

「本当だ。互角だと思ってたけど、師匠が少しずつ圧してるな」

「体力の差と純粋な力の差。マシロは変な所で非力ですからね、長期戦は苦手ですし……ハヤトも参戦してくれば?」





「あの人外共に混ざれと?」

「さらっと、酷いことを言うのね」

「事実だ」





はぁ…と溜め息を吐いてから、ハヤトは得物を持ち立ち上がった。





「とりあえず、マシロさんの援護に行って来る」

「怪我しないでね?」

「善処はする」










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