カランカラッ…と店の扉が閉まる音が聞こえ、ミルキはふぅ…と一息着いた。店内の客は先程の奥様が最後で…静かな空間に自分の存在だけが残された。

今現在、店長のアメさんは買出しに行っていて店にはいない。自分も着いて行こうか?と提案したのだが「え?ミルキちゃん俺とデートしたいの??」なんて馬鹿なこと言い出した店長を手荒く追い出し…自分は店番として店に残った。

壁に掛けられた時計を見れば午後4時を過ぎた所だろうか、…このまま行けば今日はもうお客さんは来ないかな…って思ったり、店長まだかなぁ…なんて思ったり…。

あれ?今の台詞デート待ちの彼女の台詞じゃね?なんて、思ってしまった……どうしよう…店長の思考がうつってしまった!?

やばっ…え…、?マジ?あのヤンデレでロリコンの店長と同じとか…凄いショック受けるなぁ……。

そんなことを考えていた、三分後先程と同じカランカラッ…と言う音と共に扉が開かれた。














「い、いらっしゃいませっ…!」





あまりのショックにより不自然すぎるくらい高い声が出た、うぅぅ…恥ずかしい。

しかも、お客さんは二人で同年代くらいの子達だ。それに学生服である、……セーラー服と学ランなんて珍しいな。てか、セーラー服ってなんか萌える。

…ん?女の子のほうはなんか見覚えがあるような…、凄い見覚えがあるのに思い出せない…。一体どこで見たんだっけ?






「遊、遊…!チョコクロワッサン…。」

「はいはい、他は何が良いかなぁ〜…?」

「メロンパン」

「うぃ。……あとは?」

「クッキーが良い」






え…何、こいつらリア充なの?普通にカップルの会話じゃねぇか!!!

最近の子供(ガキ)はませてるって聞くけど、こう…目の前でいちゃいちゃされると…心底ムカってくる。

しかも最近アメさんのセコハラ行為がレベルアップしてくてるんだけど!!(ただの八つ当たり






リア充爆発しろ!!!






「それはぁ…無理な相談じゃないのかな?」

ミルキ「うぁっ!!?」

「てか、俺と姉ちゃんはカップルじゃなくって……姉弟だよ」




いつの間にかあの二人はカウンターまで、来ていた。

会計をする為だろう、パンを乗せたクリーム色のトレーを手渡されるが…暫し、呆然としてしまう。まさか…読心術とか?

けれども、そんな考えは無意味で少年はくすっ…と笑い「残念だけど……」と言ってから…。





「全部口に出てたよ」

ミルキ「マジか。え?え、…どっから??」

「確か、”え…何、こいつらリア充なの?

普通にカップルの会話じゃねぇか!!!”って所からだったと思うよぉ?」



ミルキ「そんな所からか!?」








「違うよ、もっと前…」

ミルキ「嘘だよね?」

「……セーラー服ってなんか萌える…って…とこから」

ミルキ「あの時の自分を呪いてぇ!!!!」






うぁぁぁ……すげぇ、恥ずかしい!!しかも、二人はなんか笑ってるし…うわぁ、可愛い…!!許すし、仕方ないから許してやるし!!(何を?

しかも、よく見たら顔の形とか整ってるし…幼い顔つきがセーラー服や学ランにマッチして凄い似合ってる。





「そう言えば、姉ちゃんに見覚えがあるって言ってたけど?」

ミルキ「うーん…、どっかで見た覚えがあるんだけど………」

「ふ〜ん……。あ…もしかして、ジャポンのアニメとか興味ある?」






その時、一瞬だけ少年の雰囲気が変わった気がしたが……気のせいか?

てか、え…?ジャポンのアニメ。疑問符を浮かべながら、少年の顔を見れば…ゆっくりと口を開く。






「地獄●女の閻魔あいって…知ってる?」

ミルキ「あぁあぁぁぁぁあ!!!!あいちゃんかぁぁぁぁぁ!!!!」

「いっぺん…死んでみる?」

ミルキ「すげぇぇぇぇ!!!似てる似てる!!え…?もしかして本物?本物なの!!?」

「残念だけど、姉ちゃんは”あい”じゃなくて”ゆい”だから…一文字違いだねぇ」

ミルキ「一文字違い!だが、そこが良い!!」












唯「お姉さん面白いね…」

遊「俺も思った、…ねぇ…お姉さん名前は?俺は氷室 遊…。あ…こっちだったらユウ・ヒムロになるんだ」

唯「あたしは…あいじゃなくてゆい……。ユイ・ヒムロ」

ミルキ「私はミルキって言うんだけど!」


唯・遊「「ミルキちゃんね/か…。」」









俺に同年代の友達が出来た瞬間だった。兄貴に知られたらこの二人は即座に殺されてしまうかもしれない……。

兄貴がキルに”した”ように…、いや…”する”ようにだ…。だから、この二人のことは絶対に知られたくないし、秘密にしたい。

どんなことがあっても…兄貴にだけはこの二人を知られたくなかった。って…言うのも唯の独占欲かもしれない。

この世界で、…成り代わった世界で私という存在を他の誰かに知っていることが…どうしようもなく嬉しいのかもしれない。

そんなこんなで30分と言う長いようで短いような時間が過ぎた。二人が帰る頃には空は赤く染まっていた。それにしても店長遅いな…。





遊「じゃ、ミルキちゃん」

唯「また来るね……」




ミルキ「うん…!また、来てね」






カランカランッ…と扉が閉まる音がして、二人が扉の向こうに消えた。

あぁ…楽しかったな。そう言えば、ここら辺に制服で通う学校なんてあったっけ…?











唯・遊「「ばいばい。近いうちにまた、ね」」


ミルキちゃん。






夕暮れ、帰り道に二人のそんな呟きが聞こえた気がした。






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