春川視点。



俺は白祈院の言葉にどう返せば良いか、混乱していた。





― 子供が出来た ―




つまり、子供が出来るとは…一般常識に基づいて考えると男女の性交渉後、女性の体内。子宮と呼ばれる臓器の中で起こる現象のこと。胎内に放出された精子が卵子の細胞膜を破り、受精し、子宮の内膜に受精卵が引っ付くことを着床すると言う。着床した時点で、妊娠となる。これが受精のメカニズム、子供が出来る仕組みだ。

そして、それは”子宮”という臓器を持つ”女性”に生じる事実。それを真顔で言う白祈院。…最近の保健体育、理科やらなんやらはどんな授業してんだ?職務怠慢か?職務怠慢なのか??おい、お前どこの中学だったか言ってみろ。PTAやら学校側に抗議して、教育委員会にも通報してやるから。しかも、こいつの爺さん病院の院長だろ。そして姉さんも医者の卵の筈だろ!?!?

とりあえず、なんで子供が出来たか…聞いてみた。




「……ソフィアさんと、…ちゅー、したから………」


「教育放棄どころか、刷り込みまでしてやがったのかぁあああ!!!!!!」





ツッコミが追いつかねえっ!!てか、お前俺と同い年だろ!?なんでそっちの知識無いんだよ!!とりあえず、俺が何処から説明しようか迷っていた。




「白祈院、先に言っておくと…男に子供を生む能力は無い」

「……!?じゃ、俺じゃなくってソフィアさんに子供作っちゃったこと?






責任取らないと!!!」

「誰か本気でこいつに性教育一から教え込めっ!!!」




あぁ、うん…ここまでドアホだと純真無垢で居させたくなるよな。純粋培養させたいよな。でもな、こいつだって男なんだからちゃんと教えてやら無いと将来心配で仕方ないんだか。そもそも、なんで俺がこいつの将来の性事情の心配しないとダメなんだよ。

その時、直したばかりのベルの音が廊下を通じて響いてきた。「すみませーん、先程電話した白祈院ですけど」





「ほら、迎えが来たぞ」

「あ、うん……。ねぇ、春さん」

「どうした」










「また、来ても良い?」



捨てられた子犬のような目をする大男。しかし、何故か違和感が無い不思議。はぁ…と、溜め息を吐いてから…



好きにしな、ドアホ。



そんな意味を込めて、自分より幾分も高い頭に手を乗せ乱暴に撫でてやった。俺の行為に驚きながらも、はにかんで笑う白祈院に俺も自然と笑んでいた。その数分後、痺れを切らせた白祈院の面影がある美人が部屋に乗り込み、白祈院の頭を蹴り飛ばしたのは別の話。




さて、慌ただしくも大変愉快な一日は終わりを告げた。

後日譚については、次から話そうか。




今日に負けないくらいの愉快さが詰まる話だからな。











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