「「第六回流しそうめん大会始めるよー!!!」」




「恒例行事なの!?」

「毎年してるよねー……ねぇ、姉ちゃん」

「そうだね…」






時間は夕日が沈み、蝉が鳴り止んだ頃

庭にはいつの間にか竹で繋いだ流しそうめん会場が出来上がっていた。顔に絆創膏貼ってる一華さんが「ミルキちゃんもおいで」と言いながら手招く。そして、彼方さんに箸と汁の入った器を渡され、そうめんが流れてくるのを待つ。「じゃ、行くよー…」遊の声がした。そして、勢いよく流れてきた大量のそうめんを箸で摘もうとしたがあまりの量に水と共に流れてしまった。まぁ、食べたい分とれたから良いけど。あれ?そうめんってあんなに大量に流すもんだっけ??

ちゅるちゅると汁にそうめんを付けながら啜る。下の方で何故か一華さんとアメさんがバトってるけど。




「貴様にやるそうめんはない!!」

「ふざけんな!!僕のそうめん返せ!!」

「テメェは流れてくる水でも啜ってろ!!」




「二人とも行儀悪いですよ!あ、遊君お疲れ様です。」

「彼方ー…ネギ入れてないよね…?」

「入れてないよ。安心して。唯ちゃん蜜柑ばっかり食べてたらダメですよ」

「ちゃんと食べてるもん………」

「ねぇ、どうして流しそうめんで蜜柑が流れてくるの!?」

「ミルキちゃん、……あーん……」

「あ、うん。ありがと。」



「騒がしいですね」

「だな。あ、ソフィア姉来たぞ」

「本当ですか?」

「あぁ、……今だ」

「…えいっ…。」

「おぉ。」




ソフィアさんと春さん組は静かって言うか、大人しいと言うか。見てて和む←

そして、私達のそうめん流し大会という名目の晩ご飯は終わった。いや、もう…一華さんとアメさんの不毛な戦いでお腹一杯です。ちなみに、「なんで、あの二人はそんなに中が悪いんでしょうね……」とソフィアさんに相談してみれば、あぁ…と苦笑しながら驚きの返答が帰ってきた。







「二人は初対面から険悪でしたよ。出会いは確か一華が仕事でアメの元へ行ったのが始まり。

知り合って数ヶ月経った頃のことで一華は一見は可愛らしい少年ですよね?だから、アメったら…一華のこと襲おうよ押し倒したのだけど、逆に捩じ伏せられて犯されそうになって、アメが泣き出して。一華は本気でアメのこと犯そうとしたわけじゃないし、まぁ…あまり好き勝手やってると刺されるぞ、って意味合いで警告したんでしょうね。それから、螺鬼とも一悶着あって…………。




最終的には、一華が二人のこと半殺しにしてましたよ」

「なんでそうなったのっ!!!?!?!?!」

「さぁ…?でも、その一年後に二人がハンター試験を受けたと聞いたわ」




笑う。口元に手を当て、優しく微笑む。アメさんと螺鬼さんと一華さん、そしてソフィアさん。四人の関係性が全く見えてこない。確かに半殺しにした相手を嫌うのは仕方ないのだけど、でも…アメさんと螺鬼さんからは憎悪と言うか、恨み辛みという念を感じられない。一華さんのことを二人は怨んではいないのだろう。そして、ソフィアさんは全てを理解したように三人を見守っているようだった。

そして、遊がてとてと…と近づいてくるのに私は気付かず溜め息を吐く。





「(……なんか、複雑だな…)」

「ミルキちゃん…悩み事ー?」

「……んー…」

「すっきりしない感じ?」

「…うん」

「じゃ、歌おうかぁー」

「はい?」

「はい、マイク」

「あの?えっと??」

「じゃ、俺とミルキちゃんで【嗚呼、素晴らしきニャン生】いっきまーす…!」

「え、ちょっ…どんな無茶振り…?!!」



ちょっと、遊君!?お姉さんの話聞いて!!

お願いだからお姉さんに事情の説明と無茶振りの経緯を教えてください。お願いします!!




「ミルキ」

「?」

「歌って。その後、言いたい事も伝えたいことも全部吐き出しちゃいなさい」





ね?背を押され、遊は私の腕を引いて。そして、私達は走り出す。

アメちゃんと一華さん、唯と彼方さんと春さんが集まる円の中へと混ざった。






「じゃ、行くよっー!」

「あぁ、もう!!」









(ねぇ、遊君テメェ…この選曲は俺に喧嘩売ってるのか?)
(きゃー…ミルキちゃん助けてえー…ミルキちゃんの旦那が怖いー……)
(アメさん本気で止めて下さい。)



(この”私を飼っている”ってアメのことですよね?)
(やっぱり、遊って略奪愛狙ってるんじゃないのかな…!?)
(なんでわくわくしてるんですか。変態)




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