それは、梅雨の湿気対策の為に彼方と雪君の提案で屋敷の押入れに除湿剤を置いていたときのことだ。湿気とりぞう●んだっけ?あの象さんの絵が描かれたあれを置いていたときにね、それを見つけたんだ。
ずるずるとそれを引っ張り出すと、それは青色の半透明の大型ビニールプールだった。「懐かしいな…」と呟く。
確かこれ、仕事先の社長さんが試作品でくれた奴だ。縁は半透明の青で、底には星が描かれていた。膨らますのに結構体力がいるのに、ソフィアが僕一人に膨らさせたのは本当に懐かしい思い出だったり。
すると、廊下の角から声が響く。
「一ちゃん…終わった?」
「一兄ちゃん、サボったら春さんにシバかれるよー。この時期一番神経質だからねぇ」
「終わったよ。それより、これ懐かしいでしょ?」
僕がビニールプールを二人に見せれば、顔を見合わせ「「一ちゃん/一兄ちゃん、これどうするの?」」と聞いてくる。
「特に何かする予定はないよ?」
この言葉が始まりだった。
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