マダラ視点
ソフィアを縁側の床に組み敷いた後、俺は余裕無くソフィアに口付け…首筋に噛み付いた。ぼんやりする意識の中、酷く熱い身体は…まるで媚薬でも使われたように疼く。
熱い、熱い、熱い。はぁ…と熱い息を吐けば、ソフィアの身体が跳ねる。きゅうと強く瞑った目に、少しばかり涙で濡れた長い睫毛。薄く開いた口は、まるで…誘っているようにも思える。
あぁ…やっと、手に入る。期待と今まで我慢してきた欲がふつふつと湧き上がってきた。我慢した。耐えてきた。堪えてきた。望んできた。願っていた。触れたかった。愛したかった。
それが叶う。そう思うと、身体は自然と動き…ソフィアの身体に手を伸ばしていた。ソフィアはその腕をぱしんっ…と払い室内へ逃げようと身体を起こした。
腰から生えた九本の真っ白な尻尾。桜色の髪に真っ直ぐに立っている白い狐の耳。宙に広がる髪を一瞬で畳の上に叩きつけ逃げ場を失った腕が爪を立てて更に奥へと逃げようとする。
ソフィアは俺のこれから行うであろう行為を理解しているのだろう。だから、こんなにも逃げようとする。それはどうしてだろうか?おそらく、俺が”うちはマダラ”の”偽者”だからだ。
俺は”うちはマダラ”と名乗っているが”うちはマダラ”ではない。それを知っているソフィアは俺に抱かれる事は絶対にない。
”本物”に対しての罪悪感か、想い故か。それとも………
触れられる感覚から逃げるように背を向けるソフィアに圧し掛かり、逃げられないようにする。逃がさないように、逃げられないように……片腕を腹に巻き付け捕らえる。
さらり…と広がる髪を開いた方の手で払い除け、その白く細い項に吸い付き、舌を這わせ、甘く噛み付く。強く噛み自身の歯型をその首筋に残せば、酷く満たされていく。
「ソフィア…俺と来い」
「…………」
「ソフィア……っ」
「 」
「(それにしても、あの時のソフィア………)」
薄暗い部屋で畳みの上に広がる桜色の髪の毛、闇を孕む瞳に、青白い肌に浮かぶ乱暴に着けられた噛み痕や鬱血痕。酷く艶かしいその姿は、綺麗だったな…。
先程の女、イタチの親友とか言う女に切られそうになったがギリギリの所でアジトへ飛ぶ事が出来、ソフィアとの行為を思い出していた。
にやける顔を押さえながら、俺は悶々と頭を悩ませる。次からどんな顔してあいつに会えば良いのだろうか…っ!
―――――――――
「…随分、酷くされましたね………」
どうやら、気を失っていたみたいですね。倦怠感のある身体、はっきりしない意識と感覚。むくっと起き上がり、噛まれた首筋を右手で擦れば…ちくっとした痛みが走った。
意識がはっきりしてくる。ちりちりと走る断続的な痛みと指先に感じる噛まれた痕に顔を歪めた。私は視力がない分、人より感覚が数倍鋭い。
だから、痕を着けられた場所が痛みで疼いて仕方が無い……。
そう言えば、彼は何処へ行ったんでしょうね………?
「それにしても、まさか…九尾になるとはね…」
予想できなかったわけではない。だからこそ、今回のことで私が里への尽力はできそうに無い。過去に九尾に家族を奪われた人たちは大勢居るのだ。
獣耳を擦りながら、苦笑する。ゆらゆら…と揺れる九本の尻尾。触り心地は、彼が言うように悪くは無い。それにしても眠いですね…。
ふわぁっ…と口元を押さえながら小さく欠伸を零す。温かい日差しと共に屋敷を吹き抜ける風はなんとも心地良い。この姿ともあと数時間程で終わる。なら、眠ってしまえばいい。
腰から生える尻尾を一つ掴みそれを枕にして横になると……眠気は直ぐに来た。うとうと…と意識が無くなる直前、けたたましい音と共に複数の足音が響いてきた。
ぽけぇ…とする意識で、身体を起こせば数メートルほど先に見知った三人の気配があることに気付く。
「ソフィア様ぁぁぁぁあああああああああああっっっっ!!!!!!」
「ソフィアァァァアアアアア!!!!処女無事!?!?ソフィアまだ、犯されてねぇよな!!!?!?!」
「ファイテメェ!!!ソフィア様になんてことを!!!!
ソフィア様の初めては、あのぐるぐる仮面の変質者に取られてませんよね!?!??!」
「お前らなんてそんなこと包み隠さず言えるんだよ!!!!!この変態共が!!!!!」
「(一体何の騒ぎかしら……)」
とりあえず、眠る事は出来なくなったらしい……。
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