マシロさんは言葉を詰まらせ目を逸らした。え?ソフィア大丈夫かな??マシロさんがこんな反応するなんて、絶対可笑しいし…。
その時、先程起きた師匠がマシロさんの背後に近寄り…そっとその背に手を伸ばした。いや、正確に言えばその背に生えたものに手を伸ばした。そして、
ブチブチブチッ!!と言う音が痛々しいまでにこの場に響き渡り次の瞬間マシロさんの怒声が上った。
「痛っっっつつつつうううううううううう!!!!!!!ファイ!!貴様ぁぁぁぁああああああぁぁぁああああ!!!!!!」
「マジで、痛覚とかあるんだな。てか、これ何の動物?」
「貴様の首を今すぐに縊ってやるからそこに直れぇぇぇえええええ!!!!!!!!」
マシロさんは腰に付けた刀を抜刀しそうな勢いで師匠に詰め寄った。
そりゃあ…痛いだろう。マシロさんの背には真っ白な羽が生えていた。最初見たときは本当に目を疑い、絵画に描かれた天使と見間違えたくらいだ。
と、言うか…本気で違和感が無かった。カカシと同じ白銀の髪に、その真っ白な羽は当然そこに在るべきものだと言わんばかりにそこに存在し……。
唯一のツッコミである俺でさえスルーしそうになったからな!←
すると、何処かからドタドタドタッッッと騒がしい足音が聞こえ始め、そして…俺の部屋の扉を勢い良く開けたカカシは師匠に詰め寄った。
「ちょっとぉぉぉおおおおおお!!!!うちの子に何してるわけ!?!?!うちの天使なんだが乱暴しないd「気持ち悪ぃわ。この変態狼」…お兄ちゃんはお前心配してるわけ!!!!分かってる!?ねぇ、分かってる!?!?!」
「天使って…え?マシロお前天使だったのか?」
「…頭沸いたか、お前ら。」
「あ…カカシにも耳が生えてる」
「ハヤト今はこの愚兄絶対に近付くな、ぺろりと食われるぞ」
「え?あ、はい?」
「二人とも酷い!!」
「いや、事実だろ。てか本当にマシロの背中に生えてるそれは何?」
「だから、天使d「鳩の羽だ。」………」
「また、微妙なチョイスだな。」
「いや…しかし、これはこれで便利だ。飛べるしな」
「飛べるの!?」
「やれば、出来た」
「やれば出来ちゃったとか凄すぎでしょ!!」
「それより、ソフィアの所行こうぜ?(ソフィアどうなってるのか気になるし)」
「そうですね。(俺と師匠と同じで猫になってそうだな……)」
「でも、珍しいね。あの人ならこんな事が起こったら里にすっ飛んできそうなのに」
カカシの言うとおりだ。
ソフィアはいつもなら一番最初に確認に来るはずなのに、今日は全くといって良いほど姿を現さない。それどころか、マシロさんさえ言葉を濁す。
これは、ソフィア自身になにかあったと考えるべきなのだろうか?その時、マシロさんは…ぽつりと言葉を零した。
「あの姿で木の葉には来れないさ。」
マシロさんの若藤の目は、酷く哀しげに揺らいでいた。
その意味を俺はまだ知らない。
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