『もう、嫌だ!!アメさん絶倫すぎて…身体が持たない……っ!!』

「いやいや。お前ら望んで夫婦になったんなら頑張れよ」

『春さんは男だから分かんないんだよ!!毎日毎晩、夜になったら襲われて啼かされ「男の俺にお前らの夜の生活語んな」

常識人である意味そっちに精通してる人は春さんしかいないから言ってるの!!遊とか唯にこんな話聞かせられるわけないじゃん!!』




はい。こんな会話から失礼するわけ、なんだか…悪いな。俺は今、数年前に知り合った友人(←ここ重要)のミルキと電話中だ。

まぁ…うん、出会った当初は色々と事故でごちゃごちゃしてたが、今では仲の良い数少ない友人兼常識人の友人だったりする。いや、本気でメアド交換した時泣きそうになった(笑)

それに、こんな話できるのは俺くらいしかいないらしい。アメさんとやらは、襲ってくる張本人らしいし。螺鬼さんとやらは、事情通だが…話すのが恥ずかしいらしい。

その他の転生組には言える筈がなく、一華に言えば受け入れろの一言。彼方さんには言えず、遊と唯は年齢的にも…精神的にも純粋だからパス。

てか、…俺が聞かせねぇし。最終的には俺が貧乏くじだ………。しかし、まぁ…ある程度のミルキの近況が聞けるのでそれはそれでよしだ。

友人が困っている時は助けてやるし、手ぐらい貸したい。従兄弟の雪路に言えば、「分を弁えろ。一般人の踏み込んでいい領域じゃねぇんだよ」と言う叱りを受けるだろう。

あいつは、俺には容赦がなく。一華にはゲロを吐くほど甘い。本当にあいつの二面性を疑うよ。






『聞いてる…!?』

「おん、聞いてる。…そうか、じゃ…暫くこっち来れば良いんじゃないか?」

『はぁ?』

「だから、俺達学生組も春休みだし…遊と唯も喜ぶと思うぞ。それに愚痴くらいは聞いてやるから。」

『え?良いの??でも、一華さんの許可とかは?』

「あいつはそんな小せぇ事気にする奴じゃねぇよ。






お前誘拐するくらい、肝の据わったドアホだからな」

『確かに』





電話越しに聞こえる笑い声に、無意識に笑みが浮かぶ。ミルキには不思議な魅力があった。唯とは違う意味で惹かれた。

勿論ミルキ相手に恋愛感情なんてものは持ち合わせていないし、もしもミルキ相手に恋愛感情なんてものを抱けば…俺はその瞬間アメさんとやらに殺されるだろう。

アメさんとやらは…正直言って異常なまでにミルキに執着を持っているから、友人の俺でも心配なときがあるが……しかしそこに愛があるから、ある程度の容認出来る。

ミルキはアメさんとやらを思いアメさんとやらはミルキをちゃんと思ってやっている。それだけあれば十分なのだ。





だけど、アメさんとやらが………ミルキを壊そうものなら、間違いなく唯と遊は…自分の命に掛けてもアメさんとやらを殺しに行く。

それほどに、二人にとってミルキと言う存在は大きな存在になってきたのだ。ちょっと、嫉妬しそうなくらいに…。時折一般人である自分を呪いたくなる。

口惜しく、もどかしい気持ちに駆られるが……一華は俺は俺のままで居ろと言った。一般人の価値観を持っていろ。一般論で俺達を語れ。一般の評価で俺達を測れ…と。

一華の言葉の意味が分からなかった。だけども、それは…”間違っている事は間違っている”とはっきり言ってやれと言う意味だった。

裏の世界に居れば、何が正義で何が悪なのか分からなくなるらしい。自分の立ち位置が分からなくなり…自分を見失い、道具になってしまうときがある。

その時、…お前は俺達”裏の人間”を”表の人間”として止めろと…言ったのだ。常識と秩序を持って俺達を止めろと。

全く持っていい迷惑だ。不愉快だが、それでも…”表の人間”として…俺がお前らを止める時が来ない事を願うよ。






「じゃ、明日の午後にでも荷物準備してそっちの街の喫茶店で待ち合わせで』

『場所分かるの?』

「俺んとこには優秀なナビ兼瞬間配達の名人が居るからな」

『それって…遊と唯のことでしょ(笑)』

「あいつらは否定しねぇよ」

『そっか。うん、分かった…じゃ、また明日ね。春さん』

「あぁ…また明日」





ぴっ…と携帯のボタンを押し、携帯をベットに投げる。さて、…遊にはなって言うかな。てか、一華には今からでも連絡入れるか…。時間的にはもうそろそろ家に着く頃だ。

投げた携帯を再び手に取り、電話帳を漁る。一華の名前を探し、通話ボタンを押してから…耳に押し当てる。数秒の発信音の後、聞きなれた声が電話の向こうからした。






『……もしもし。雪君が珍しいね、僕に電話なんて』

「そうだな。」

『ミルキちゃんの件なら構わないけど、明日僕仕事だからね』

「なんだ、明日居ないのか?」

『夜だけね。彼方も居ないし、学生組だけになるけど…雪君に任せるよ』

「分かった」

『じゃ、詳しい話は家に帰った時教えてよ






ミルキちゃんとアメの床事情について詳しk

ブチンッ!ツーウ ツーウ ツーウ…』 


言わせるかぁぁぁぁぁぁああああああああっっっ!!!!

この歩く自主規制野郎!!!!

ミルキのプライバシー考えやがれ変態がぁぁぁあああ!!!」










「「春さんご飯…/飯だよぉ」」

「今行く!」




どうやら、飯と言う事は一華が既に家の中にいると言うことだ。

そして俺は部屋から飛び出し一華の姿を視界に捉えた途端、なんの躊躇いもなく一華の首にラリアットを決めたのだった。

さて、あの男が何故ミルキがこっちに来るのを知っていたかと言うと………







ミルキ…安心しろ。一華は盗聴とかの悪事には手を染めてないからな!

まぁ…十中八九あいつの能力的な物だろ。そこら辺は正直一緒に住んでてもわかんねぇんだよな。遊と唯もいまいち知らないみたいだし。多分彼方さんなら知ってると思うけど。





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