せめて雨が止むまで ※企画から来た方はこちらの「天馬の半身な子」で名前変換お願いします。一人称も変換可能です。 『あんたやっぱり騙してたんだね』 うちがフェイを守る為に雷門へタイムジャンプしてた事を明かした後の、実千代の開口一番。 騙してた、その言葉が深く深く突き刺さる。 『あたしと大親友だったってのも…!全部嘘だったんだね!』 「それは…」 雷門生として雷門サッカー部にいたって事にするのも、確かにフェイを初めとするメンバー達と居やすくする為。 でも親友が、誰でも良かった訳じゃない。 「うち、この子気になるやんね」 アスレイに渡された雷門のデータを見て、一目見てあの子が気になった。 「こ、この子か…でもこの子相当気難しいみたいだからなぁ… 親友にしたいなら、この葵って子が良いんじゃ」 「でもうちこの子が良いやんね!」 迷いなんてなかった。 天馬キャプテンに心酔して、周りを大騒ぎに巻き込む子。 でも、不発弾事故で両親を亡くしてるって。 思えば、うちはあの子を…知らず知らず、フェイと重ねていたのかもしれない。 親を亡くした寂しさを、あんな形で昇華させてるんだって、感じた。 不思議やんね、まだフェイの事もちゃんと分かってなかったのに。 『あんた何もんなのよ!』 「えーっ、大親友のうちの事忘れたやんね!?」 『忘れるも何も、あんたなんて知らないわよー!』 アスレイをして気難しいって言われた彼女は、やっぱりタイムジャンプで現れたうちにすぐ噛み付いて来た。 でも、不思議と嫌な感じはしない。 いつかきっと、あの子だって心を開いてくれるって。 でもうちは気付いていなかった。 自分の正体を明かす事は、うちが皆と…勿論あの子とも、別れる時が来るって事。 そしてその正体は、うちの受けた使命上、いずれ明かす必要がある事。 絆を強めれば強める程、同じく強くなる別離の悲しみ。 あの子からボロボロと流れ出る悲しみの“雨”。 あの子からの思いを見たいと願ったけれど、皮肉にもこれが、うちへの実千代の想いの証明になってしまうなんて。 「騙したつもりなんて…なかったやんね…」 『でもあんたはフェイ君に近付く為に、未来の人間の癖に雷門生って成り済ましてたじゃない! あれを騙してないで、何が騙してないよ!』 「…それは…」 うちが言いたかった事は、少なくとも実千代を騙して傷付けようとした訳ではない事。 …それでも、別れの運命が変わる訳じゃない。 喚く彼女に、かけられる言葉が見つからない。 『速く行っちまいなさいよ…!明日あの天馬の劣化コピーと戦うんでしょーが…』 「…やんね」 これ以上何を言っても、あの子を傷付けるだけ。 あの子を傷付けた挙げ句、SARUに負けるなんて醜態を晒すなんて絶対許されないやんね。 「最後にこれだけは言わせて欲しいやんね こんな思いをさせてごめんなさい。 でも貴方が、 実千代が大事だって事は、 嘘じゃなかったやんね…」 『…バカッ』 うん、貴方にそんな思いをさせてしまったうちは、本当におバカさんやんね。 「うち、必ず勝つから… 絶対実千代の事だって、守るから…」 そう言って、あの子に背を向けた。 SARUの事だ。うちらが負けたりなんかしたら、きっとうちら以外の皆すら酷い目に合わせようとするに違いない。 それにSARUはあの子を特に警戒している。 SARUがまず手に掛けるとするなら、間違いなく裏切ったフェイとあの子だ。 だけどそんな事はさせない。 フェイだってあの子だって、必ず守ってみせる。 『…時空最強になれなかったあたしの分まで戦って負けたりなんかしたら…許さないんだから』 確かに聞こえたあの子の声。 甘えかもしれない。 でもきっと、きっとあの子とも笑顔でいられる日は来る筈。 「…アマテラス」 化身に問いかける。 「…あの子にあんな思いさせたうちが言える事じゃないけど… うち、あの子の心、照らしたいやんね…」 うちの化身が、おひさまのように輝く化身なら。 都合が良いとか言われそうだけれども、 せめてあの子の心を照らして終わらしたいから。 うちらが勝つまでに、 あの子の
「君が好き」様に提出 天馬半身に何言われても逆上しない黄名子マジ聖母だ ってかアスレイにまでドギツイと言われる天馬半身って… 2013/8/30(FRI) prev|次は無いと思え← 目次へ |