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今日の咲良の様子は朝から変だった。

「咲良、クマが出来てるぞ」
『熊が出てきた?雷門に?お前が退治しろ』
「なんて典型的な返し方するんだ」

鬼道への返し方もなんだか惚けている。
フラフラとした様子に鬼道は不安になるのだった。


部活中でもフラフラしていた。
いつもの咲良のキレのある動きがないので、フラフラとした咲良の動きにかえって部員達は翻弄されていた。

その様子は酔拳のようだったと夏未は後に語る。

「咲良」
『…ああ、なんだ』
「今日はどうした」
『…なんでも』
「咲良!もう今日は帰っていい!」
「円堂…」
『…守…いや、大丈夫だ』
「キャプテン命令だ!今はお前ん家を優先しろ!」

円堂が珍しく真剣な剣幕で咲良に捲し立てる。

「家?」
「咲良の家は稲妻町唯一の花屋なんだ。ほら、この時期は…」
「この時期…?」

風丸の言葉に春菜は少し考え、ある事が思いつく。

「…あ!クリスマスシーズンですね!花屋さんは忙しくなりますよ!」
『…アルバイトも臨時で雇うけどそれでも間に合わないから私も駆り出されんのさ』
「それってどれぐらいなんだ」
『まず花とかの納入が早朝ってレベルじゃない。…今までの雷門は弱小だったから去年までは大丈夫だったんだけどな』
「納入を手伝った直後に朝練…うわー、ハードスケジュール〜。」
『バチコン野郎、お前に言われると特にムカつくな
特に24〜25日は夜になると余計に忙しい…』
「だからさ、俺達おじさんや咲良と一緒にクリスマスパーティやった事ないんだよな」
『クリスマスの後は大体泥のように寝る。で、翌日からは新年の用意だ。
……いつも思う。

クリスマスなんて爆発してしまえっ…!!』

「咲良っ!?なんか別の意味になってるぞそのセリフ!」
「普通なら非リア充の言葉だよね!」


「咲良ちゃぁぁぁぁん!!」
「咲良ーーーーーーー!!」

グラウンドに響く場違いな声。
現れたのは赤いハネッけのある髪と長い金髪。

「おっヒロト!アフロディ!」
「お前達何しに来たんだ!?」

歓喜の声を上げる円堂に対し、やや警戒の声の鬼道。

そんな鬼道も気にせずヒロトは
「えっ決まってるでしょ円堂君と咲良ちゃんをお誘いに来たんだよ」
「何のだ」
「お日さま園でのクリスマスパーティー☆」

「…二人っきりになろうとした所をウルビダに絞められるオチか」
「風丸、なんでどっちがとは言わないんだ」

「そしてアフロディは何をしに来た」
「よくぞ聞いてくれました!」
『別にどうでも良いが』
「いや聞いてよ!

咲良、クリスマスは僕と二人っきりで過ごさないかい?」

『そんな暇はない』
「…デメテルが怒るぞ」
「ふふっ、それは大丈夫!

デメテルはこの時期、家が花の出荷のかきいれ時で忙しい!
僕らの邪魔など出来っこない!」
『で、出目手家から花を供給する我が家は一体どうだってんだ。
私も家手伝うんだけど』
「あ。
…咲良、お手伝い終わった後でも」
『手伝い終わったらおじさんも私も泥のように寝たくなる程疲れる』
「あ、って考えてなかったなアフロディ」

「咲良ちゃあああん!
それって俺とクリスマス過ごせないって事だよね!?」
『元より私の中にクリスマスなんてない
…辛いだけだし』
「咲良ったら!その言葉は非リア充の言葉だよ!
…はっ!もしかして咲良は自分がリア充じゃないなんて思って…
じゃあ咲良、僕とリアzy」
「ちょっとそれ聞き捨てならないね、君が誰とリア充だって?」

突如ヒロトは変態モードからマトモモードに変わり、アフロディと口論を始めたのだった。

ギャンギャンと言い争う二人を尻目に、余計に顔色を悪くし咲良は円堂に縋った。
『守ー…なんか全体的に辛い』
「…良い方法あるぞ咲良」
『えー何…』
「ゴッドハンドォォォ!」
『!?』

いきなり円堂はゴッドハンドを繰り出す。
そして…
咲良を掴み投げ飛ばしたのだった。

『うわああああああ!?』

「もう今日は家へ帰れー!
荷物とかは後で俺が持って帰って来てやっからー!
ちゃんと着地しろよー!」

「円堂!?お前何やってるぅぅぅ!?」
「咲良副キャプテン怪我しちゃうっスぅぅぅ!」
「着地しろって無茶よ円堂君んんっ!」

ヒロトとアフロディは未だに口論していた。


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