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聖夜での営業が終わる。
植之助と咲良は体を引きずるように家路を歩いていた。

『あーん…もう疲れちゃったよ俺様

花屋なんてやめてやるわっ!

…って言い続けてもう40年以上経ったなー』
『…毎年言ってるけど結局やめないよね』
『もうイエス様ったらなんであんなにエロく、じゃなくって偉くなっちゃったのさー
イエスが偉くなかったらクリスマスなんてなかったのに』
『んな2000年以上前の事にケチ付けても』
『大体さー、俺様キリスト教徒じゃありませーん神道でーす』
『世間じゃ通用しないよ』
『生まれた日が12月25日ってのは実は正確じゃないんだろー?
んもう恨むよ世間…ついでに恋人と過ごす日って日本の風潮』
『最後おじさんの個人的な恨みだろ
…でも私も正直恨み事の一つや二つ言いたくなる。

練習さ、私があまりに疲れてたから守に禁止された。』
『あの守君が?…なんか、すまないな。』
『良いよ、おじさんのせいにはしたくない。』

二人でぼやきながら歩き、家に着く。

さっさと家に入りたいと思う二人に、何故家の電気がついているのかという思考は回らなかった。
咲良は引き戸を掴む。

鍵をかけている筈だったのに、何故か、開いた。

そして。

「咲良ちゃん、植之助さんお帰りなさーい♪ハァハァ」
玄関には何故か、基山ヒロトがいた。

裸エプロンで。

ガラガラガラッ!
咲良は勢いよく引き戸を閉める。

『……』
『………』
『…………』
『…………おじさん』
『…うん、なに』
『入る家、間違ったかな。』
『…でもさ、ちゃんと表札には春日野ってあったじゃない…』

ガラガラガラッ

「咲良ちゃんも植之助さんも酷いや!
俺折角玄関で待ってたのにさ!!」

痺れを切らしたらしいヒロト自らが引き戸を開けた。

『え?そのカッコで?』
「そうですよ!」
『寒くない?』
『おじさん!ツッコミ所はそこ!?』
「寒いです!でも咲良ちゃんの為ならハァハァ」
『ヒィィィィ』
「まあ兎も角入って入って!」

ヒロトが手を引こうとしてきたが、それは丁重に断り促されるまま家に入る。

正直嫌な予感しかしない騒がしい音が聞こえる。『…おじさん、嫌な予感しかしない。』
『奇遇だね、俺様も』

「皆ー!二人が帰って来たよー!!」

「咲良っ!!やっと帰ってきたか!待ちくたびれたぞ!」
「おじさん、お邪魔してます」
「ったく、やっと来たか」
「お帰りなさいでヤンスー!」
「お邪魔してるッス!」
「ったくおっせーなオッサン!」
「咲良ー!私が来たぞー!!」
「よぉ咲良ちゃん」
「咲良、お前の家にはドリームキャストやらセガサターンやらXboxやら負けハードしかないのか。」

なんでこんな人数いるし。


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