(企画サイト様からいらっしゃった方はこちらで変換どうぞ、夢主は円堂義姉です) 『ロニージョ、それって…』 「ガール、知ってるのか?」 ロニージョの手にある物。 淡いピンクの、十字型の独特な形をした、花。 『…イカリソウ』 「イカリソウ?この花が?」 『うん』 「イカリソウっていうのか、たまたま見かけたから一輪摘んでみたんだ」 『そう、か』 その一輪を微笑ましげに見るロニージョ。 つい魅入ってしまう。 「…ガール?」 『うをっ!?』 ロニージョが不思議そうに顔を覗き込んで来た事でやっと我に返る。 「どうしたんだい」 『いやっ、なんでもないんだ!』 「…そうか?」 『強いて言うならその花の事を考えていたのだ』 話題を逸らす為、花を口実にする。 自分が今持つイカリソウに関する知識を脳内で必死にかき集めた。 『その十字型の形が船で使われる碇に似ているからイカリソウと日本では呼ばれている』 「そうなのか」『春に咲く花なんだ、 それで英語名は妖精の羽とか司教の帽子とかの意味で呼ばれている。 それで─』 生薬では、と言いかけようとした所で固まる。 生薬ではイカリソウは淫羊霍(インヨウカク)と呼ばれる。 この名は羊がこれを食べて精力絶倫になったという伝説による由来だ。 これから分かる通り、精力剤として使われている。 こんな話をロニージョにすべきか。 いいや、すべきじゃない。 「…ガール、ボーッとして… やっぱり気分悪いのか?」 『! いや、違う!』 ロニージョを二度も心配させてしまった。 慌てて他の知識を探す。 『…あ、そうだ』 「?」 『イカリソウの花言葉はな、“あなたをつかまえる、君を離さない”なんだ』 「そうなのか」 ロニージョの心配は逸らせただろうか。 すると、 「ガール、ちょっと良いか?」 『え、何?』 ロニージョの手が咲良の頭に伸びる。 何かが外される感覚。 戻されたロニージョの手には咲良が付けていた髪飾り。 『ロニージョ?』 「勝手に取ってごめん、けど…こうしたかったんだ。」 イカリソウが髪に差し込まれる。 「…君に似合うな、この花」 『…』 それ以降、お互い言葉が紡げない。 ただ視線がかち合うだけで内心互いに気恥ずかしい。 『…っ!?ロニッ…!?』 「…度々すまないな」 この状況を打破したのはロニージョだった。 「でもどうしても伝えたかったんだ」 『伝え…?』 「離したくない、だからこうやってつかまえたんだ」 もう離さない、と囁かれた。 二人を繋ぐもの 「FLOWER TO CHILDREN」様に提出。 敢えてテーマは桜ではなく。 |