「ああ、この姿の僕も美しい」
『…』
「ふふ…神に仕える者の姿になれるとは…」
『……』
「ん?どうしたんだい咲良」
『………』
「ああ大丈夫、君も十分美s『仕事をしろ。』

なんで、なんでこいつなのだろうか。
こんな今まさに鏡片手にうっとりしてるような奴が!

ギリシャ神話だろこいつは!神社は神道だぞ!
そしてもろ金髪だろこいつ!黒髪じゃないとダメなんだぞ助勤って…
私も黒髪じゃないけど。
ちなみに助勤というのは所謂アルバイトの事。だが神に仕える仕事なのでこういう場ではアルバイトとは表現しない。

そして何より… お と こ じゃないかああああ!
何故巫女の格好になれたんだ!

『…くそう、むしゃくしゃする。』
「ええ?なんでだい?」
『お前だ、お前が私をむしゃくしゃさせる』
「…へえ、そっか」

なんで嬉しそうにするんだこいつは。
なんだ、Mなのか

「どんな形であれ、君の思考を支配出来てるなら嬉しいよ」
『あ、この交通安全御守りですね、500円です』

無視しよう、…あ、でも奴のナルシストポジティブは前向きに捉えるかもしれない。

『…念の為言っておく、一時的だとはいえ今の私達は神の為に勤めているんだ。己が神とか驕りは許されない、この時は神の為ちゃんと勤める事。良いな?』
「といっても御守りとかおみくじとか売るぐらいだろう?」
『お前の場合はな 。』
「 でも事前の講習会で舞とかの指導とかしてもらったんだけどなあ…」
奴はうーん、と少し考える。そして、
「あ、この美しい僕が客寄せに踊r『殴ってでも止めるぞ。』

とかなんとか言ってるうちに客が来てしまった。

『…あ゛』

見慣れたチューリップ、見慣れた寝癖爆発頭、そしてこれまた見慣れたアフロとゴーグル。

「やあ、どうし」
『出るな!』

顔を出そうとした照美を慌てて止める。
今出たらお終いだっ!

「ちょ、どうして出ちゃいけないんだい!?」
『お前の仲間が来たよ…韓国での』
「なんだって、チャンスウ達が…!?

僕の美しい姿見せてあげなきゃ!」
『だーかーらっ!出るなって言ってるだろ!』

嬉々として出ようとする照美を取り押さえる。
さっき出るなって言ったのにこいつは!
というか出たらマズイって事気付け!

「なんで出ちゃダメなんだい!?」
『今のお前は性別詐称して助勤してるんだぞっ
お前が亜風炉照美だとバレる事は性別バレたも同然だろうが!』

こう言えば奴は渋々大人しくなった。

『じゃあ私が行くから』

照美を残して売り場に出れば、あの二人が小競り合いを起こしていた。

「ふん、君には学業御守りと縁結びがお似合いだね」
「んだと!?
お前だって縁結びのお世話になる立場じゃねぇのか!」
「学業御守りは否定しないんだね」

…買う御守りで小競り合い起こすなよ騒々しい。
チャンスウが困ってるじゃないか。
バツが悪そうにチャンスウが私に向かって謝罪してきた。

「すみません、ご迷惑をかけて…
…って、咲良?」
「あ?」
「ん?」

あ、バレた。
私の名前が出たので小競り合いを起こしていた二人も反応した。

「咲良…咲良ですよね?」
『…ああそうだよ。』

照美の奴がバレたら問題だが、私がバレても問題ないので隠さない。

「おい咲良、お前なんで此処に」
『この神社と私の家がちょっと関わりがあってな、それで手伝いに駆り出された』
「そうなのか」
「ああにしても咲良、良かったです会えて。
新年になったら早々に貴方に会いたいと思っていたので。

主にこの事で」

そう言ってチャンスウが取り出しだ一枚の紙。

『それ、私の送った年賀状じゃないか』
「やっぱお前かよ!なんでこんなんなんだよ」
「全く、なんで新年早々に染岡竜吾の顔を見なくてはならない」

私が送った年賀状、今年は染岡さんが水平線から頭を出している絵にした。
辰年だからな。
…で、チャンスウはどうしてこの年賀状の事で会いに来た。

「…どうして」
『?』
「どうして私じゃなかったんですか!」
『!?』

突然物凄い剣幕になるチャンスウ。
なんだ、寧ろ対象にならなかったのは喜ばしいんじゃないのか

『私にとって龍と言えば染岡さんだからな』
「貴方は私よりもその男の方が大事なんですか!」
『…まあ、小学校からの付き合いだし』
「何ですってえええええ!!
その男もその男を選んだ貴方も許さないいいいいい!!」
『ちょ、やめろ!』

チャンスウが訳の分からない事を言い出し売り場の前で暴れ出した。

二人はチャンスウを無視して買うつもりらしい御守りを突き出してきた。
空気読んでくれ。…いや、チャンスウを止めてくれ切実に。

そしたら隣で声がした。

「はい、学業御守り二つと縁結び二つを合わせて2000円です」

照 美 が 出 よ っ た 。

『ちょ、おま』
「お、おう」
「「…」」

晴矢が金を払うが明らかに戸惑っている。
残り二人も訝しげに照美を見る。
チャンスウが暴走を止めたのは助かったけどさ。

「なあ…アフロディか?」

バ レ た 。

「いいえ、違いますよ。」

涼しい笑顔で否定する照美。
いやもう無理だろ!

「な、なあ男が巫女の格好して働け「だから“私”は違いますよ」

笑顔の照美。
しかし奴の背後にはどす黒いオーラが…

『お前ら、もう深く突っ込まないで行った方が良い』
「アフロディの格好はなんだ、何かのプレイなのか」
『突っ込むなと言ってるだろ!
プレイじゃなくてれっきとした助勤だから』
「アフロディ、どうして巫女として働いて…」
『私も知らんがな、どういう訳か巫女として助勤する事になったんだよ!』

照美の後ろに翼が見える。

「…どうやら、本当に行った方が良いみたいですね。」

チャンスウ、察しが良くて助かる。

「行きましょう、南雲に涼野。

…ああそうだ、まだ終わらせる気はありませんのでまた次に」

去って行く三人。

…。
まだ年賀状の事引きずってんのか…。

『…全く…お前…は…!』
「でもああしなきゃチャンスウは五月蝿いままじゃないか、それに三人にこの僕の姿を見せたかったし、ってなんだい咲良そのグーはうわあああ」


この後おみくじ引いたら凶だった。畜生め



お仕事しましょ?」様に提出させて頂きました。
多分時期は正月…なんて時期外れだ
何しろ現時点で宗教系の仕事を扱ったのは私だけだったので、ちーとばかし構想大変でした
前サイト(砂糖)見てないと分からないネタがありますね、分からなかった方すみません

2012/5/12(SAT)


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