21g

無口に叫ぶ怒りも
内側から浸食していく孤独も
ぜんぶ本当はとるに足らないもの、な
はずなのだけれど
こうしてこの世で生きている限りは
ムシすることはできないもので

行く方も知れぬ舟に乗って
さあ、次は どこへ行く
本当は持っていたはずのオールも
いつの間にかなくなっている
いや、手放したのか
もうずっと前のこと


愛は何かと訊かれれば
それは献身の心と応えます
或は価値ある犠牲、努力する心
少なくとも恋とはおよそ異なるもの

見返りを求めるうちはまだ
それは恋と呼べるでしょう
愛に至っては
性別も数も関係ない
恋だけは、たった一人に向けるもの


さて、道すがら
そうしたものも幾度か経験したものですが
何やら身の内を食むせつなさは
いっこう消えては呉れません

酷かったときよりは少し和らいだ気もしますが
それは屹度、麻痺してきたのでしょう
きみは一体いつまでそうしているのかい。

見えない誰かの話し声がする
これは私か、それともあなたか
いま筆を動かしているのは
誰だろう

自己中心的な生でもあった気がするし
自らを痛めつけ他者の為に生きた生でも
あった気がする

いずれにしろ
21gの重みに込められたこの時間に
何か意味はあったかな

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