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ラブソングを歌おう。くだらない、どこにでもある、ありふれた、聞き飽きたチープなラブソングを。
それにはお前と私、それから、余裕があるならもう一人くらい居ればいいとおもう。
いつだってそう、大切な事はあとから気がつく。だからといって、私は後悔というものが嫌いだ。「反省はするが後悔はしない」、この台詞を初めて本の中に見つけた時、私は、なんていい言葉だとおもったものだ。その通り、反省はいい。だが、後悔など。後から己のしたことを悔いるなど、私のなかでは絶対にナンセンスだ。私は後悔はしない。だが今回は、反省すらもしなくてよくなりそうだ。
ああ、五月蝿い。誰かが私の耳もとで叫んでいる。なんだ、これは。この音は、なんなんだ。
…ああ、そうか。これはお前の声か。
落ちそうになる瞼を頑張って開けてみる。視界はぼやけていて、なんだかよく見えない。
「***!***ッ!!!」
五月蝿い、ようやく眠れそうなのになぜ邪魔をするのか。
頬に生暖かいものがあたる。
おい、泣かれるのは苦手なんだ。どうしたらいいか分らなくなる。
いつだってそう、大切な事はあとから気がつく。だからといって、私は後悔というものが嫌いだ。だから、頼む。あと少しでいいから笑顔で居てくれ。私に、君の生が続く事を、良かったと想わせたままで逝かせてくれよ。
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