食性について


野生のシマエナガは昆虫を食べるというから、部屋に現れた蜘蛛へとけしかけてみた。が、得意げに捕まえてくれただけで捕食には至らず。似ているけれど、やはりシマエナガではないのだろうか。バレーボールサイズだし、ここ北の大地じゃないし。夏なのに羽毛ふっかふかだし。ちなみに蜘蛛は外に逃がした。そのまま窓を開けておいたが、鳥は出ていく素振りもない。
餌、というか、食事というか。虫などもってのほか、この鳥は基本的に私と同じものを要求した。さも当然とばかりに、ごはんからおやつまで。調理前の素材よりも、きちんと料理の体裁を保ったものを好むようだ。そんな生意気な鳥いる?何を作っても残さず食べてはくれるが、魚メインのときは特に嬉しそうだった。どうやら好物らしい。魚介類繋がりなのか、えびせんも。
魚を好む鳥といえば、ふと出身校の名前が想起された。鴎台高校。そうだ、カモメ。モノトーンの色味は思えばかなりそれらしい。鮮やかな黄色をした足には、確か水かきもあったはず。(余談だが、短足でかわいいと口を滑らせて以来、なかなかあんよを見せてくれない。香箱座りで不貞腐れているのもそれはそれでかわいいことは黙っておこう。)
独特の冠羽など風変わりなところはあるが、その他の特徴を鑑みるに、すごく太ったカモメの可能性がある。観察を通じての見解を獣医の友人に報告したところ、「いくらカモメが雑食だからってかっぱえびせんはあげない方がいいよ。ていうか人間の食べ物がダメ。太ってるっていうなら尚更ね」と至極まっとうなご意見を頂戴した。だって喜ぶんだもん。かわいくて癒されるんだもん。むくれる私に「“甘やかす”っていう虐待もあるんだよねぇ」と語尾だけは間延びした追撃。こと動物に関しては、彼は妥協なく真摯なのである。
鳥は電話越しの声になんとも言えない表情で耳を傾けていた。獣医の仕事ぶりに感心しつつも、飯のグレードが下がるのは嫌、みたいな。
通話を切って、罅割れた画面を眺める。もう一人連絡をとろうか迷ったが、結局バキバキの画面を見続けるのがしんどいのでやめた。



ホシウミカモメ観察日記




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