白鳥沢

自転車で撥ねられた。/牛島

自転車で牛島くんに撥ねられた。
川柳ではなく日記である。今朝の出来事を要約するとそういうことで、つまり私の骨折は同級生の牛島若利との接触事故によるものだ。
昼過ぎに松葉杖をついて登校した私を見ても眉ひとつ動かさず、しかしまあ怪我の理由くらい一応訊いといてやるかぁという義理テンションを隠しもしなかった薄情な友人は、その意趣返しの如く端的な上記説明を聞いて「えっ、牛島って自転車乗るの?似合わなッ」と目を瞠った。注目ポイントそこ?つーか、
「自転車乗ってたの私」
「……うん?」
「ランニング中の牛島くんに接触して自転車ごと吹っ飛ばされたの。結果がこの脚」
幾重にも巻き付けた包帯で厳重に固定された患部を、ギプスの重みに任せて雑に揺らす。友人はああなるほどと頷いてみせた後「なんで自転車が歩行者に完敗してんの?」と首を傾げた。わかる。一般に自転車と歩行者の交通事故において責任を問われるのは自転車側だもの。ちなみにこの件において牛島くんは無傷。なんなら負傷した私と大破した自転車を抱えて最寄りの病院まで搬送したのも牛島くんだ。曲がり角から姿を現した彼に結構なスピードで突っ込んでいったのは私のはずだが、無辜の歩行者の立場から即座に被害者・加害者・救急車の三拍子こなすとは恐れ入る。力こそパワー。筋肉が全てを解決するとはよく言ったものだ、恐らく彼の体幹は自動車にだって負けない。衝突した際に異世界転生するのはトラックの方だろう……流石に言い過ぎか?



---

↑は寮住みの若利くんに実家まで毎日俵担ぎで送り迎えされる羽目になって、しかも朝は朝練前、夜は練習後で待ち時間が長く非合理に苦しむ女さんになる予定でしたが、Twitterを見返したら全然違う願望が書いてあってびびった。↓

自転車で走行中、角からランニングで現れた若利君にはねられて骨折し、いいと言っているのに償うと聞かないので「じゃあうしじまくんの全財産くれっつったらくれるの!?」とキレたら「…結婚しろということか?流石に少し考えさせてほしい」と斜め上の受け取り方された上フラれたみたいになりたいし、後日教室で「みょうじ、この間の婚約の件だが…」とクソよく通る声で話しかけられて最悪になりたい。
「俺はみょうじをキズモノ(骨折)にしてしまった。(あんな大怪我は)はじめてだったんだろう。色々考えたが責任を取るという意味でもお前の要望(してない)通り結i婚するのが最善だと思った」
「すいません()内を読んでいただけませんか。他には何も望みませんので」
「……? すまない、よく分からないのだが。“家内と呼んで”……?」
「“カッコ内を読んで”!Siriでももうちょい聞き取るわ!」

クラスメイトの前で誤解を生むようなことばかり言う牛島若利にキレて「やめろ!!」と腹パンかましたら手の骨が折れた。ノーダメージ若利。

「みょうじはよく(※若利くんのせいで)怪我をする。危なっかしくて目で追っているうちにいつの間にか視界にお前がいることが当たり前になっていた。卒業後も🏐を続けていく上で、メンタルを安定させるためにもあまり環境を変えたくない。TOKYOの大i学に進学してくれ(付き合おうとは言ってない)」

なんやかんや若利くんと付き合うようになり、当初の言いたいことも言えない女さんを知っている天の童が「なまえちゃんほんとツッコミ上手くなったよねぇ」としみじみ溢したら若利くんが「? 天童、突っ込むのは俺の方だが」と最悪の下ネタで入ってきたので膝の裏蹴ったら足の指折れた。





×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -