What's mean?


*「ドリーマー」のレン視点で、レン→翔です。













恋とか愛とか、そんなものよくわからない。レディたちには、愛してるよなんて甘い声で囁いたりしてみるけれど、本当に人を好きになることがどういうことなのかなんて、俺はちっともわからないんだ。わからないままでも今まで生きてこられたし、これからもわかるつもりなんて微塵もない。そうやって本当の愛を知らずに生きていくことを寂しいと思うことも、最近ではなくなっていた。俺の思考回路はとっくの昔に可笑しくなってしまったのかもしれないけれど、今ではその事実さえよくわからない。(慣れ、とは怖いものだ)
ただ、オチビちゃんを真っ黒に染めつけてみたい、とは思う。可愛いなあ、とは思う。あんなに小さいのに頑張りやなところとか、今時珍しいくらいにピュアなところだとか。だからといって好きだなんて思ってはないが、別に嫌悪しているわけでもない。一生懸命だし思いやりもあるし、オチビちゃんは人に嫌われるような人間じゃないからね。むしろ好意を寄せている人間の方が多いのかもしれない。彼は、まるで宝石のようだと思う。宝石は綺麗だ、磨けば磨くほど輝きを放つ高貴な石。努力を重ねることで日々その輝きを増していく様子は、まさにダイヤモンドのようで。だから人々はそれを手に入れることを夢見る、そのうちの一人がイッキだ。イッキがオチビちゃんに魅せられていること、俺は気が付いているんだよ。
ただ、悪いけれど俺は普通の感覚を持ち合わせた人間ではないから、宝石に手を伸ばすことよりも、いっそのことそれを壊してみたいと思ってしまったんだ。俺みたいに汚れた、愛を知らない人間が手を伸ばしたって、きっと届かない。それなら真っ黒に染め上げて、ねえ、そしたら堕ちてくるかもしれないだろう?

好きなわけじゃない。ただ、イッキがうつつを抜かしている彼を手に入れてみたい。
知っていた、イッキがこのシーンを見ていることを。

「オチビちゃんてさ、すごく困らせたくなっちゃうんだよね」
「はあ?え、ちょ、レン……!」

唇を重ねた。それは、わざとイッキに見せつけるように行われた計算され尽くしたキス。わざと卑猥な音を立てられた、三流のポルノ映画のワンシーンのようなキス。気配でイッキがいなくなったことを察して、羞恥と驚きに打ち震えるオチビちゃんを解放してやった。どうしてこんなことをするのかと、怒ったような困ったような声でされた質問には、こう返してやった。

「虐めたくなっちゃったんだ、翔のこと」

そう俺が言い放った瞬間、頬を真っ赤にさせた君は何も言わずに部屋を出て行ってしまった。面白いことになってきたかな、そう思うと俺の口角は自然と上がってしまった。

恋とか愛とか、そんなものよくわからない。わからないままでも今まで生きてこられたし。ただ、あの時どうしてイッキに見せつけるようにキスをしたのかとか、俺とのキスで頬を染めた君を見た時の高ぶった気持ちの理由とか、今日はまた新たにわからないことが増えたような気がした。



(いつかわかる日が来るのかな)



* * *

神宮寺さん、それが恋ってやつなんですよと優しく教えてあげたい←
普段あんなに女の子たちに愛を振りまいているくせに、恋愛の何たるかを全くわかっていない神宮寺さんが好きです。この後きっと音也も翔ちゃんに色々してしまうと思うので、翔ちゃんは頭爆発するのだろうと思いますw
20120115

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