光の帝国


*大人レン翔の小ネタ。「おさかなになりたい猫」の補完のつもりで書きました。そちらを先に読まれると、色々わかりやすいかと思います。













孤独な時間があるから、人は孤独じゃないって感じられるんだよ。そう言って笑ったお前の顔を、俺は絶対忘れられない。



「……そんなこと言ったかな、俺」

あぁ、そうやって少し困ったように目尻を下げて笑う笑い方をたまにするのは、学生の頃とちっとも変らないんだな、と少し嬉しくなる。あの時は頑張って見上げなければならなかったお前も顔も、今ではあの頃よりちょっぴり近くに見える。(ほんのちょっぴり、ってところが気に食わねーけど)あの頃のような子どもではなくなったけれど、お前が俺に向ける顔はあの幸せな時のものに戻っていて、酷く安心した。

「俺はさ、きっとお前のその言葉の意味を、理解はできても実感はできないと思ってたんだ」

何だかんだ言ったって、俺は今までとても幸せな人生を歩んできたと思っている。身体のことで辛い思いはもちろんしたけど、いつだって周りには家族や友だちがいてくれて。励まされてきて。俺は孤独を知らないから、いつだってみんなに支えられてここまできたのだから。お前が生きるために通ってきた寒くて暗い道を俺は知らない。そう、お前がその胸に抱える傷、俺はその痛みを、知らない。それを、知りたい。俺はわかりたい。だって、あの頃も今も、痛いのはいつだってお前なんだ。

「……いいんだよ、翔は、そんなもの知らなくていい」

そう言ってまた、お前は一人だけ全てを悟って抱え込んでいるような顔をする。思えば俺は、お前に何も何もしてあげられていないことに気づくんだ。お前の過去と痛み、それを知らなくていいと言うのなら、じゃあ、俺はお前に何ができるというんだ?

「居てほしいんだ、ここに。翔は翔のままでありつづけて、俺に、帰れる場所を与えて」

その双の瞳が揺れていた。お前は俺に優しくて、すごく大切にしてくれて、でも今思えばお前はいつも震えるように揺れていた気がする。そんなお前の帰る場所をつくること、いつも笑顔でお前の愛を受け止めて、俺が俺でありつづけること。そんな簡単なこと。

「じゃあ絶対、どこにいても帰って来いよ」

また俺を置いていなくなったら、その時は本当に許さないから。
孤独を感じたらここに来い。見えるはずだ、わかるはずだ、一人じゃないから。不安になるほどの闇に襲われても、必ず俺を探して。お前に愛されるための俺で、待っているから。



(ここは、光の帝国)
(お前のためだけの光)



* * *

「おさかなになりたい猫」のレン翔を幸せにしたかった。あのレン様は翔ちゃんを愛してたけど、卒業と同時に何かが変わってしまうのを恐れていなくなったっていうのが私の頭の中での設定。幸せになる過程を盛大にすっ飛ばして無理やりハッピーエンドっぽくしてみた!←
翔レンっぽく見えるかもしれませんが、マジでレン翔のつもりで書いてます。精神的に弱いところはあるけど、それでもやっぱり翔ちゃんをおっきな愛でつつんであげる神宮寺さんなレン翔が大好き!でも、いい加減カッコいい神宮寺さんなレン翔書きます……。
20120104

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