Love is a leveller.


*付き合っている音レン。フリリクくださったゆうさんに捧げます。













Love is a leveller.という諺がある。歌詞をつくる時に、何も思い浮かばなかったら、辞書とかをパラパラめくってみるといいわよってリンちゃんが言ってて、さっそく課題に行き詰った俺は、ベッドに寝転びながら英和辞典を眺めてた。(英語の方がカッコいい歌詞作れそうでしょ?)そんな時に見つけたこの諺。Love is a leveler.恋は平等主義者、って意味があるんだって。その時に、いちばんに俺の頭に浮かんできたのは、恋人である神宮寺レンの姿だった。大勢の女の子たち、その全員に分け隔てなく優しく、笑顔を振りまくレンはまさに恋愛平等主義者って感じ。まるで愛する人に一番とか二番って順位をつけるなんてとんでもないとでも言うように、レンは愛を求めてくる人なら全員に惜しみなく、平等に愛を注ぐ。そういうのって、世間一般では「浮気者」とか「女たらし」っていって嫌悪されることなんだと思うけど、レンがやるとそうは見えないから本当に不思議。「フェミニスト」って言葉がぴったりな、レン。

って、これだけ聞いたら、きっとみんながみんな、どうしてそんな奴と付き合ってるんだって思うよね、きっと。それは、さっき俺が思い浮かべたレンの姿は本当の姿じゃないからに他ならない。レンはすごく不器用なんだ。幼い頃から家族に愛されなかったレンは、本当は恋愛に対してものすごく臆病で。必要以上に自分の中に踏み込まれることを恐れるから、自分自身で人との間にラインを引く。その一線を越えさせないために、笑顔で愛想を振りまいている。攻撃は最大の防御と言うけれど、レンの行動はまさにそれ。自分から人に優しくすることで、必死で周りの人間を牽制しているんだ。そんなレンと俺が恋人同士になったのは、お互いに他人にはわからない傷を抱えていたところがあったからかもしれない。俺も、本当の家族を知らない。俺が人を愛することを知ることができたのは、偽物だけどすごく暖かい「家族」と呼べる存在がいたから。でも俺にはレンの気持ちが何となくわかったから、だからいつもレンのそばにいるようにしていた。レンも、俺には色々なことを話してくれたし、気が付いたら俺たちは、恋人と呼べるような関係になっていたんだ。

俺と二人でいる時のレンは、きっと誰も見たことがないような顔をしている。例えて言うなら、愛情に飢えている子猫みたいな、俺だけを一番に愛して、って全身で叫んでいるようなそんな雰囲気をしている。でも、意地っ張りだからそれを滅多に口には出さないんだけどね。でもたまーに、本当にたまにだけど、甘え下手なレンが、一生懸命甘えてくるときがあるんだよ。



あれは、トキヤがいない日に俺の部屋で二人並んでソファに座って、何となくテレビを眺めていたとき。ふと隣のレンを見たら、何だか眠そうな顔をしていた。レンってね、実はすぐ眠くなるんだよ。お腹いっぱいになったらすぐ眠たくなるの。(赤ちゃんみたいだよね)そしたら突然、こてんって擬態語がつきそうな感じで頭を俺の肩にのっけるんだ。そんなレンが何だか可愛くて、俺は愛してあげたくてしょうがなくなっちゃって、だからそのままレンを抱き寄せた。薄く開いた唇にそっとキス、強く弱く、でも優しく。レンは眠たいのと、キスされたのとで、もう目がとろけちゃったんじゃないかってくらいにとろんとしてた。レンはこうやって抱きしめると甘い匂いがする。多分香水の匂いなんだろうけど、俺が同じ香水をつけても同じ匂いにはならなかった。香水は、付けた人自身の匂いと混ざり合って別の匂いになるから、みんな同じ匂いにはならないんだよって、レンが言ってた。ということは、やっぱりきっとレン自身の匂いが甘いんだ。だって、レンは唇もこんなに甘いもん。

「俺ね、レンの唇だいすき」

そう言っても、レンはどうしてかだんまりで。いつもは俺が「好き」とか言ったら、少しだけ頬を赤くして、斜め上に視線を泳がせる。その様子も可愛いから楽しみにしてるのに、今日は一体どうしたのかな?って思ってたらさ。

「……だけ?」
「え、何?」
「……口だけじゃなくて、出来れば全部、愛して欲しいんだけど」

と言って、あぁほら、やっぱり斜め上に視線をやるでしょ。でも今日は頬だけじゃなくて耳まで真っ赤。当然か、滅多に見れない、レンが甘えてくれた瞬間だもんね。

「ぜーんぶ好きだよ。ぜんぶぜんぶ、レンのぜんぶが同じくらいだいすき!」

力いっぱい抱きしめてあげたら、「痛いよ、イッキ」って聞こえてきたけど、何だか嬉しそうな声だったからもっと強く抱きしめちゃった。その後は、レンの好きなところ全部に、同じだけキスしてあげた。(レンはすっごく恥ずかしがってたけど!)



そこまで思いだして、「恋は平等主義」って言葉の意味が、俺なりにわかったような気がした。俺の大事な恋人は、みんなにはあんなに不敵な笑みを見せているくせに、本当はすごく臆病で、愛されたいってもがいてるんだ。だから、レンの全部を「平等」に、精一杯愛してあげなきゃいけないんだよね。唇も、瞳も、声も、考え方も、心も、全部。全部、分け隔てなく、愛してあげなくちゃ。
ベッドから起き上がって、机に向かった。書きだした課題の歌詞のタイトルは、もちろんもう決まってるよ。



(Love is a leveller.―恋愛平等主義―)
(俺の、モットーだよ)



* * *

よーし、甘い話書くぞー!と意気込んだはいいのですが、どうしても切ない要素が入ってしまう話ばかり考え付いてしまい、3つほどボツネタができましたww←
音レンは、付き合って長い時間が経つと、神宮寺さんの方が音也に依存しそうだなー、愛してほしくてたまらない感じ、とか思いながら書きました。でも音也は男前度が意外と高いので、受け止めてくれそうなイメージ。結局好きのベクトルは同程度くらいなのが音レンっぽい。
小説のネタがない時に、つい辞書をひいてしまいます。なので音也にもひかせてみましたw
20111121

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