冬の日
*付き合っている音レンの小ネタ。
冬は寒い。冬の朝はベッドから出たくない。暖房のタイマーをかけるのを忘れた日は最悪。
目が覚めたら、イッキに腕枕をされていた。腕が痺れるだろうし、俺も寝にくいし、何もいいことなどないのに、これをイッキは「男のロマン」だという。(確かに、俺も可愛いレディになら腕枕をしたい。でも俺は男だ)そこで、どうしてイッキがいっしょに寝ているのか、という思考にぶち当たり、寝ぼけた頭で必死に考えながら部屋を見回す。しばらく考えてようやく、昨夜はイッチーがいないということでイッキの部屋で寝たのだということに思い当たり、安堵した。今まで気が付かなかったが、隣にいる人物はもうすでに目を覚ましていたらしい。
「おはよ、レン」
「……寒い」
今日は見事に暖房のタイマーセットを忘れていたらしい。基本的に早乙女学園の寮室は自動的に冷暖房が入るようになっているが、暖房をつけたままだと部屋が乾燥するため、就寝時には暖房を切る生徒が多い。喉を大切にするアイドルコースの生徒はきっと殆どがそうしているだろう。とにかく、タイマーをかけ忘れた部屋は寒くて、俺は目の前でやたらとニコニコしているイッキとの距離を縮めた。俺は寒がりで冷え性だから、イッキの体温は本当に心地よい。(まるで湯たんぽ代わりだ)
「イッキ、暖房つけてよ」
「えー、寒いよ」
「俺、服着てないからさ」
「俺だって着てないよ、昨日そのまま寝たもん」
暖房のスイッチまでは、ベッドから5m弱くらいだろうか。ほんの少しの距離ではあるが、寒いのは嫌なのだ。
「じゃあさ、また、あったかくしてあげるよ」
そう言って、チュッとリップ音をたてながらイッキが口づけてくる。シーツに無造作に散らばった髪を掬って、耳元もくすぐられて。付き合い出した当初はキスもしたこともなくてウブだったのに、いつの間にこんなに艶やかな表情をするようになったのだろう。初めて身体を繋げたときなんてムードのへったくれもなくて、(まあ童貞だったから仕方ないよね)それなのに最近はこういう雰囲気に事を運ぶのが上手くなった。そのことが何だか面白くなくて、調子に乗ってまたキスをしようと顔を近づけてきたイッキの鼻を、少し歯を立てて噛んでやる。
「痛っ!」
「調子にのらないの」
イッキの頭を軽く小突いて、ベッドから出て暖房をつけた。寒いはずなのに、顔がすこし熱かった。
(いつのまにか大人になっている、そんな君を悔しいけど愛してる)
* * *
最近、小ネタと小説の境が曖昧になってきた私です。小ネタのつもりで書いたら長くなってしまう傾向あり←
純情童貞少年音也をまだまだだなとか微笑ましく思いながら付き合っていたのに、いつのまにか音也に主導権を取られてて悔しい神宮寺さんが書きたかったのです。どんなに音レンがマイナーでも書き続けてやります。たとえ私しかもえていなかったとしても……!
本州では冬に暖房って使いますか?もしかして使いませんか、使わなかったらどうしよう。完全に北海道の感覚で書いちゃったよ、私(^^)最近の早朝の私の部屋の室温は10度。真冬は5度くらいww
20111116
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