さくらとたんぽぽ


*那翔小ネタ。










那月に後ろからギュッと抱きしめられるのは、やっぱりまだ慣れない。すっぽりと那月の身体に収まってしまう自分も嫌だし、何よりすっごく恥ずかしくて、ドキドキしてしまうからだ。抱きしめられる度に顔が火照って、しかもそれは那月にはバレバレで、また可愛いなんて言ってギューっとされてしまう(こいつホント馬鹿力なんだ)

「翔ちゃんっていいにおいがして、お花みたいだなっていつも思うんです」

後ろで俺の頭に顔を近づけて、那月はこんなことを言う。でも俺だって、那月はたんぽぽみたいだなって、思う。黄色いきれいなたんぽぽも、白い綿毛になってふわふわしてるたんぽぽも、どちらも那月にそっくりだ。じゃあ俺は?俺は花にたとえたら、一体なに?

きっと俺は桜だ。ひと時、見事に咲き誇るけれど、すぐに散ってしまう儚い桜。桜の花びらが散るのを見ると、いつも少し胸が痛むのは自分自身と重ねるからだ。(俺もああやって、もうすぐ散るのかな)そんな風に思ってしまうからだ。でも、桜が美しいのはすぐに散ってしまうからだ。そして散る時こそ美しいからだ。

俺はそうなれるか。
散る瞬間まで、輝けるか。

「散る時こそ美しい……そんな花?」

顔を俯けて、小さな声でポツリと漏らした俺に、那月はきっといつものたんぽぽみたいな笑顔を浮かべながら、こう言った。

「何度散っても、また次の春には咲く、そんな花ですよ」



(何度散っても、何度休んでも、それども年を重ねるごとにさらに美しく咲く、そんな花)



* * *
翔ちゃんは向日葵でもいいなぁって思ったけど、向日葵は音也の方がしっくりきますね。レン様は薔薇で、聖川様は椿とかでしょうか。トキヤは……藤の花とか。
あ、でも翔ちゃんにチューリップとか持たせたらすごい可愛いと思う。
20111015

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