あけまして、愛をこめて


*嶺レンの短めなお話。珍しく甘いです。









「ねえレンレンはさ、おせち料理の中で何がいちばん好き?」

嶺二さんはいつだって、そんなことを聞いて一体何になるのだと思うことを聞いてくる。それは、俺と2人でいる時だけではなく、もっと大勢でいる時もそうだ。それはあまりにもくだらない話なのだけれど、嶺二さんが話すととてつもなく面白くて意味があることに思えてくるから本当にすごいと思う。
いつだったか、初対面の人とする鉄板の話題は、今日の天気の話なんかじゃなくて、「好きなチュッパチャップスの味の話」と「好きなうまい棒の味の話」だと嶺二さんが言っていたことを思い出す。そのどちらも食べたことがないんだけれど、と話すと、それは大変だと大げさに慌てふためいて、両手に溢れるほどそのお菓子を買ってきてくれたんだった。(うまい棒はめんたい味が美味しい。嶺二さんはたこやき味派だって言ってた)

「おせちか、あまり食べたことはないけど……数の子かな?」
「出た出た!数の子!……美味しいけど、あんまり食べられないやつね」

嶺二さんが言うには、数の子などの魚卵はものすごくコレステロールが高いから、あまり食べないように気をつけているらしい。

「俺はそんなこと気にして食べたことはないけど」
「レンレンはいいの。若いから」
「嶺二さんだってまだ26でしょう」
「おバカ!僕だってあと1年もしたらアラサーの仲間入りなんだから!食生活気をつけないで、痛風とかになっちゃったらどうするのー。嫌でしょ?痛風アイドル」

ほら、おせちだけでここまで話題を広げることができるんだ、この人は。だから、今年もこの人といっしょにいたいなあ、なんて思わせられてしまうんだ。

「何笑ってんの?」
「ん?今年も嶺二さんといっしょにいれたら退屈しないだろうなって」

そのすぐ後に、不意打ちで俺にキスをした嶺二さんは、新年早々いつも通りの恥ずかしいセリフを口にした。ああ、やっぱりこの人といると寿命が縮まるかも、と思い直した。



(そこはさ、ずっと嶺二さんといっしょにいたいなあ、でしょ?)
(でもね、そういうの素直に言えないレンレンが僕は大好きだよ)



* * *

私は嶺レンに夢を見すぎかもしれない。いいよね、新年一発目くらい夢見ても。みなさま、今年もよろしくお願いいたします。
20150107
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