短編 | ナノ

「しししし白石、アカン死ぬヤバい寒い」
「……大丈夫か」
「大丈夫やない全然何これ何がホワイトクリスマス何がクリスマス寒波寒い」
「ええやんホワイトクリスマスエクスタシー!」
「寒いだけやんかあああ!」
「自分震えヤバいで」
「言われんくても分かってる寒い」
「そんな丈の短いスカートとか履いとるからやで」
「あああ寒いよ白石死ぬ」
「しかもマフラーも手袋もしてへんし」
「だってまさかこんなに寒いとは」
「まぁ風も強いしなぁ」
「あああ寒い」
「さっきから寒い寒い言い過ぎや」
「何か癖になっちゃいまして寒い」
「余計寒感じるで」
「シライシワタシトウシスルサムイ」
「……手ぇ貸してみ」
「ポケットから出すんが寒い」
「何やどっかのおばさんみたいなこと言うな。そしたら」
「あ」
「自分どんだけ手冷たいねん!ポケットん中入れててこれか!」
「白石の手ぇぬくい何でこんなぬくいのネェシライシ」
「ちょ、自分さっきから怖いで。で何でこない冷えてんの」
「冷え症」
「冷え症?」
「生姜湯飲んでも漢方飲んでも治らん冷え症歴イコール年齢」
「そしたら今度血の巡りようなる体操教えたる」
「やだ面倒絶対続かない」
「せやかて自分この冷たさ異常やで。氷みたいやん」
「小学校でのあだ名は雪女」
「……分かる気ぃするわ」
「何か生涯のライバルみたいな旧き友人みたいな。治らなくてもいいかなとか思うよねみたいな。治らへんだけやねんけど」
「そしたら俺が自分の手ちゃんと温め続けたるわ」
「マジか」
「おん。凍死されたら困るからな」
「……ありがとう」
「やけど何でそんな格好で来てん。ツタヤ行くだけやってんけど」
「だって、折角白石とクリスマスに会えるんやし。ちょっとちゃう格好して行きたかったやん」
「……」
「毎年リア充の友達に置いてかれんねん。サミシマスやわ」
「リア充なクリスマスにしよか」
「……」
「ホワイトクリスマスもよう思えてきたやろ?」
「それは嫌」




20101225
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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