短編 | ナノ
 
「うわー!世界が真っ白やで白石ー!」
「ほんまやなぁ」
「窓ガタガタいうてんで、大丈夫なんオサムちゃん」
「んー、大丈夫やろ」
「いつ止むんやろなぁ」
「何でも上陸してるらしいすわ」
「どこに?」
「ここに」
「そら床上浸水とかするわなぁ」
「俺床上浸水とか初めてすわ」
「お魚さんおらんかなぁ、おらんかなぁ」
「さすがにおらんやろ」
「待って、ユウ君!あれを見て!」
「何や小春ぅ……って、あれ校長の錦鯉やんけ!」
「あの時価三万する言うて朝礼で自慢しとったやつか!」
「よっしゃ、お前達あの鯉捕り」
「それどないすんの?」
「焼き肉奢ったるで〜」
「オサムちゃん売るんはアカンで。ちゃんと捕ってあげたお礼として焼き肉奢ってもらわなな」
「白石爽やかに何言うとんねん!てか何で網持ってんねん!」
「謙也さんうっさいすわ」
「えええ!ちゅーか財前も網持っとんのかいな!何やねんお前等……!」
「財前、どっちが捕るか勝負しよか」
「別にいいっすよ。負ける気せえへんし」
「何なん……。この縁日の金魚すくいでの会話みたいなん何なん」


「……金ちゃん」
「何やー?千歳ー」
「空飛んでみんね」
「空?」
「金ちゃんならきっと飛べようよ。よか感じに風ば吹いとうし、傘もあるとよ」
「え、何?そっちはそっちで何の会話!?千歳の目キラキラしてんねんけど、俺めっちゃ嫌な予感してんねんけど!」
「今ならトトロが見れる気がするけん、どうね金ちゃん……!」
「よっしゃ!千歳が言うんやしワイ空飛ぶわ!」
「ええええ!ちょ、千歳何言うてんねん!」
「トトロが見えっばい……!」
「アカーン!金ちゃんでもさすがに無理や!てか窓開けたら雨がああああ!」
「ワイ行くでぇ!」
「ああああ、金ちゃーん!ちゅーかほんまに飛んどるうううう!」
「リアルトトロばい……!」
「金太郎さんどこまで飛んでいくつもりかしらね」
「あれ師範ちゃう?」
「あらほんと。あ、受け止めてくれたわ、よかった」
「あああ、おらん思てたら師範あんな所おったんかいなあああああ!」
「謙也ー!うっさいでー!」
「ちょ、あ、届かへん!てかそっちちゃうし、くそっ」
「んんー、エクスタシー!」
「……ほんま部長ウザいっすわ」
「水槽いるかー?」
「ああ健ちゃん、ありがと」
「何でお前等よー分からんもん持ってんねん!仮にも合宿中やっちゅー話やろ!」
「そりゃ台風接近ってニュースであっとったからなぁ。色んなこと起こる可能性考えなな。こんな楽しいこと無駄にする訳にはいかんやん?」




20100812 大阪台風の被害少ないからある意味お祭り騒ぎになるんじゃないのって。
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テーマ「人外ファンタジー」
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