短編 | ナノ

「財前!飴ちゃんあげる!」
「……」
「……」
「……」
「ちょい待ち!スルーせんでよ、はい飴ちゃん」
「……いらん」
「人が折角あげる言うてんのに!」
「それ、いつから鞄に入ってたやつなん」
「……え?あ、ああ、今日の朝やで」
「その飴半年前の期間限定のやつやんな」
「う、うん」
「もう売ってへんよな」
「せやなぁ、あたしももうこの一つしか持ってへんねん。だからこれレアもんやねんで」
「……いらん」
「何で!」
「先輩がそんなレアもん人にやるわけないやないですか」
「どういう意味かな?」
「そのまんますわ」
「何よー、人がさぁ今日は財前の誕生日やからさぁあ、財前が気に入ってたこのレアな飴をあげよ思ってたのに?何、財前君はそんなこと言っちゃうの。まぁツンデレ財前君やもんな。いらん言いつつ本間は欲しいんやろ?分かってるで。せやからこの優しい先輩、このレアな、一氏が女子に抱き付いてる写真くらいレアな価値があるこの飴を財前君にあげよう」
「……」
「ちょ、そんな目で見るんやめてくれるかな」
「俺、さっき先輩が鞄の中を必死に漁ってる姿見たんすわ」
「ふ、ふーん?」
「ほんで、あったー!とかアホみたいに目キラキラさせて先輩が鞄の中から取り出したもん、何や思います?」
「……」
「その飴ちゃんと同じもんでしたわ」
「……」
「さっき、一つしか持ってへん言うてましたよね」
「こ、購買のおばちゃんも今日誕生日やってん!やからおばちゃんにもあげてん!」
「今日購買におんのおっちゃんすわ」
「……」
「……袋の外から見てもあきらかに溶けてますやん、それ」
「誕生日教えてくれへん財前が悪いんや!」
「普通好きな男の誕生日くらい知ってるもんやろ」
「な、なななな何であたしがアンタのこと好きなんよ!」
「ちゃうん?」
「ちゃ、ちゃ……ちゃうことあらへんわアホ!」
「逆ギレして告白する人初めて見ましたわ」
「うっさいわボケ!分かってんやったらあたしの愛を黙って受け取れ!」
「それよりユウジ先輩が女に抱きついてる写真のが欲しいっすわ」
「……もう、君、何なん」
「好きな奴の誕生日忘れとる方が悪い」
「忘れてへんやん、知らんかっただけやん!」
「そのくせに誕プレがいつのか分からん飴とか。そこにコンビニあんのやから善哉買ってくるとか出来ますやん」
「あたしの全財産3円やねん」
「……」
「……あたしのちゅーでいかがなもんやろ」
「うわぁ……」
「その目やめてくれへんかな!」




20100720 結局ちゅー

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