短編 | ナノ


最近妙に財前くんから視線を感じる。

いや、これほんまに。自意識過剰ではない、と思う。そんであたしも財前くんの方を見ると彼はえらく不自然な感じで目を逸らす。校内でもすれ違う度にガン見されてるの分かるし。もしかしたらこれって、もしかしてのもしかしてのあれかな!一目惚れ、させてしもうたんかな!

……なんて。そんなんあり得るわけ無いわボケ。自分のレベルくらいよー分かっとるっちゅうねん。Bじゃ、BのB。バストはAじゃ。要するに顔もスタイルも真ん中の、それより下になることくらい分かっとるわ。

あーあ。自分で言うてて何か悲しなってきたし。あーあ。でもそれやったら財前くんは何であんなにあたしんことを見てくんねんやろ。財前くん、クールなナイスガイで人気やけどあたしはどうも怖い。髪ツンツンやし、ピアスようさん開けてるし。人のこと見た目で判断したらアカンのは分かってるけど、何かなぁ、アカンねん怖いねん。



「なぁ」

とか思って財前くんの方ちら見しとったら財前くんがスタスタこっちやって来た。まさかと思ってたけどまさかのまさかで声まで掛けてきたし、え、嘘何これまさかの!?まさかのこくは……いやいやそれはないやろないない。いやでも!

「なあ自分」
「は、はい!?何でございましょうか!?」

アカーン!めっちゃキョドった返事してもうた!まさか今ので引かれた?財前くんの眉寄ってるし、え、嘘引かれた?大物逃したあたし?

「ずっと聞きたかってんけどな」

けれど財前くんは直ぐにいつものクールでナイスガイな顔に戻って、内緒話をするみたいに私の耳元に顔を寄せた。怖い!財前くん怖いけど心臓うっさい!イケメンパワーって凄い!えええしかも何でこんな至近距離ああああ!やっぱりフラグ立てちゃってたのかなかなかな!?

「、何を?」
「……そのピアスどこで買うたん?」

え、ピアス?ちょいと右耳の三つ目のピアスを指で弾いて財前くんはそう言った。あの、顔が凄い女の子なんですけど。好きな人聞きに来た女の子みたいなんですけど。




20110213

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