殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ、もうやめろ、後ろから声がした、真っ赤になった私の体を彼は抱き締めた。

「殺さなきゃ」
「もう死んでる」

だめなの、殺さなきゃ、いけないの、だってだって、私の大事な人を傷つけたの、そう、貴方を。
かすり傷だ、彼の頬に触れる。
そう、それは確かにかすり傷なのだけれど。
でも、同じことよ、私の大事な人を傷つけた。
そう言うと、涙が溢れて止まらなくなった。
人を殺めた、私、は人を殺めた。

「っ」

激しい吐き気に襲われた。
彼は震える私の体をさっきより強く抱き締めた。

「バカタレ、無理しすぎだ」

だめよ、殺さなきゃ、殺られるんだから、殺さなきゃ、殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ。
ふと手を見ると黒と赤で、ひどく醜かった。
涙がぽたぽたと血だらけの床に落ちた、涙は赤く染まる。

「助けて、助けて助けて助けて助けて」
「大丈夫だ」

お願い私を、助けて。
この黒と赤との世界から私を引っ張りあげて。
苦しい、ひどく息苦しい。
血の匂いはつんと鼻をつく、血の色は私を惑わせる。
この世界にもう少しいたら、私は壊れてしまう。
早く早く早く早く早く早く早く、出して出して出して出して出して出して、壊れてしまう前に。