好き、なんて私の彼氏は面倒くさいと言って、言ってはくれない、そんなの付き合う前からわかってたけど、なんだか寂しい。
もしかして、私のこと嫌いなんじゃ、と不安になってチョウジのところへたくさんお菓子の手土産を持って行った。

「シカマルなら大丈夫だよ」

チョウジは私の持ってきたお菓子をニコニコしながら平らげた。
そしてそう言って自分のお菓子を出してまた食べ出した。

「でも」
「じゃあシカマルに聞いてみたら?」

チョウジはそう言ってまた新しいお菓子の袋をだした。

「そんな勇気ないよ」
「うーん」

チョウジはボリボリとお菓子を食べる、なんだかお腹がすいてきた。

「お菓子ちょっとちょうだい」
「えー…」
「いただきっ」
「うわ、」

チョウジは心底嫌そうな顔をした。
私はけたけた笑いながら取り上げたお菓子を食べる、チョウジはまた新しいお菓子の袋をだした。

「なんだまだあるじゃない」
「あるけどその味はもうない」
「あっは、ごめん」

まあ、いいよ、とチョウジは笑った、チョウジは優しいな、私も笑う、すると後ろから不機嫌そうな声がした。
聞き覚えのある不機嫌そうな声に私とチョウジは振り返る、そこにはシカマルが立っていた。

「わ」
「ああ、シカマルちょうどよかった」

チョウジはニコニコしながらシカマルに私の隣りへ座るように促した、シカマルはどさっと私の隣りに座ってチョウジにお菓子を渡した。
チョウジはニコニコしながらお菓子を受け取って食べはじめた。
私はびっくりして少しシカマルと反対の方向へ動く、そっとシカマルを見ればいつも以上に不機嫌そうな顔、やばい、絶対何か怒ってる。
うわ、シカマルも怒るんだ、いや怒るだろうね、人間だもの。
不機嫌そうな顔はいつものことだけど今日はおかしい、いつもの百倍不機嫌そうだ。
私はどうしたものかと考えているとシカマルが口を開いた。
私は目をぎゅうと瞑る、シカマルはこいつ借りるからな、と言って私の腕を引っ張った。
チョウジ助けて、パクパクと口を動かしたがチョウジはニコニコしながら全然オッケーと言った。
裏切り者、そう口を動かすとチョウジは頑張って、と口を動かした。
頑張れない、私頑張れないよチョウジ、シカマルに引っ張られて公園まで来たけど、何を話したらいいのかわからないし、もう、険悪ムードだし、なんか別れ話でも切り出されるんじゃないかと思った。
シカマルは公園のベンチまで私を引っ張って、どさっとベンチに座った、私もベンチに座る。
気まずい、気まずすぎる。
シカマルは相変わらず不機嫌そうな顔してるし、何も話さないし。
私はこの場から逃げたくて逃げたくて仕方なかった、誰かこないかな、誰でもいいからこないかな。

「おい」

シカマルが私に声をかける、私の肩がびくりと跳ねた。

「お前さ、チョウジのこと好き、なのか」

シカマルは真面目な顔して言った、冗談ではないようだ、私はびっくりした、チョウジ、なんでチョウジ。
そりゃ、チョウジは友達としては好きだけど、シカマルとは違うよ、シカマルは、違う好き、だよ。
そう言えばシカマルは眉をしかめた。

「でもお前、最近毎日チョウジの家行ってるし」

それは、シカマルのことで、そこまで言うとシカマルは俺のこと?と首を傾げた。
だって、だってシカマル、好きって言ってくれない、から。
言ってしまった、私は俯く。
シカマルは黙ったままだった、どうしよう、私が謝ろうとした瞬間にシカマルが私に謝った。

「シカ、マル?」

シカマルを見ると、目がばっちりあって私の肩は跳ねた。

「好き、だなんて恥ずかしいからさ、不安にさせてたんだな、悪い」

シカマルは申し訳なさそうに頭を下げた、私は慌てて頭をあげるように言う、シカマルはまた悪い、と言った。
私は、大丈夫、と答える。

「あの、さ、好き、だからな、ちゃんと」
「、うん」

好き、はじめて言ってもらえた、たとえこんなかたちでも嬉しい、ぽろり、涙が零れた。
シカマルは私の涙を見て、目を丸くした。

「大丈夫か」
「嬉しくて、ごめん」
「そっか、よかった」

シカマルは笑った。
私も涙をぽろぽろ零しながら笑う、すると、シカマルの手がすっとのびてきて私の涙を拭った。

「ありがと」
「おう」

ニイ、とシカマルは笑った、私は嬉しくなって、シカマルに抱き付く、シカマルはどうした、と言った。

「好き!」

そう叫んで笑えば、シカマルも好きだって言ってくれた。
ずっと不安になってた私ばかみたい、シカマルがぎゅってしてくれたからいままでの不安全部全部シャボン玉みたいにはじけて消えた。