ちょっと聞いてよ、ぐいと腕を引っ張られて無理矢理椅子に座らされた俺は目の前の幼馴染みの顔を見て溜息をついた。
なんだか面倒くさそうな複雑そうな顔をしている、絶対話長い、絶対。
俺の溜息なんか気にせず幼馴染みはぐだぐだと御幸の悪口を言いはじめた。
あのエロ眼鏡死ねばいいのに、知ってる?私の友達めっちゃひどいフられ方したらしいのよ!むきー!幼馴染みの口からは言葉が溢れでてきた。
俺はまた深く溜息をついて、で、俺にどうしろと?と聞く、結局幼馴染みは俺に何かさせるために俺に話をしているんだから、話をさっさと終わらせるためには俺のやるべきことを聞けばいいと思ったのだ。
しかしそれは違っていた。
いや待って、まだ話あるの、そう言ってまたぐだぐだと御幸の悪口を言いはじめた。
御幸のやろう、どんだけ女で遊んでやがんだ、ったく。
羨ましいなんて思ってない、断じてだ。

「で、俺は「待って、でね、友達が」

あー、もう我慢ならない、俺は立ち上がり御幸殴ってくるから、それで許してやれと言った。
すると幼馴染みはびっくりしたみたいでぱちぱち瞬きして、待ってよ、と言った。
一発じゃだめなのか?そう言えば首を横にふった。

「まだ話終わってない」
「どうせ最後まで御幸の悪口だろ」

そう言ったら、幼馴染みは違うの、その子今御幸と付き合ってるの、と言った。

「はあ?」

意味わかんね、そう言えば幼馴染みはなんか、好きな子ほどいじめたくなる、みたいで。
もごもご、小さな声になる。
そうか、俺は溜息をついて座った。

「でね、くらもっちーは」
「なにその呼び方」
「くらもっちーはさ、私のこといじめないの?」
「は?」
「好きな子ほどいじめたくなるって」
「俺はそういうタイプじゃないっつーの」
「じゃあ、私のこと好き?」
「ああ、好きだよ」
「よかった、くらもっちー大好き」

そう言って笑う幼馴染みに、癒されてる俺がいて、少し恥ずかしくなった。
幼馴染みも恥ずかしいのか少し頬を染めていた。

「ここ教室なんだけどくらもっちーくんとその彼女さん」

愛の言葉を囁きあうのは他の場所でお願いしますよ、御幸が笑った。