きらきら光った宝石みたいなお星様とじんわり輝くお月様の明りが私達を包みこんだ。
そして光が私達を包むように、曽良の手が私を包んでいる。
緩む口元に繋いでいない左手を添えると曽良はどうしたんですか、と聞いてきた。
幸せなの、そう言えば曽良はそうですか、と小さな声で返事をした。
私達は付き合っていても、お互い好きだとか、愛してるだとかは言わない。
ただ、言うのは、月明りの道を二人歩いて、月が綺麗ですねの一言。
それで、いいのだ。
それだけで私も彼も満足なのだ。

「今日も」
「月が綺麗だね」
「ええ」

曽良は満足そうに微笑んで、私の肩を引き寄せる、誰もいないけれど、恥ずかしくて、少し、頬を赤く染めた。
曽良はそんなこと気にしてないみたいでキスしてもいいですか、と耳元で囁いた。
かあと顔を赤くして、私はこくりと頷く、そして目をぎゅうと瞑る、曽良はそんなに緊張しないで下さい、と私の前髪をいじった。
でも、そこまで言った時に私の唇に曽良の唇がくっついた。

「、そ、らあっ」

どん、曽良の胸を押すと曽良はにや、と笑って苦しかったですか、と聞いてきたので私は首を横にふった。
すると曽良は強がりですね、と言って笑った。
どうせ強がりですよ、そう言ってふいとそっぽ向く、曽良は私の頭を掴んで乱暴に曽良の方へとむけた。

「今首がぐりょんっていったんだけど」
「知りませんよ」

曽良はそう言ってから続けて、貴女は僕だけ見ていればいいんです、と言った。
まさか曽良の口からそんな言葉が発せられるなんて、私は口をぽかんと開けて突っ立っていた。
曽良は少し恥ずかしそうにそっぽ向いた。
私はくすくす笑いながら、曽良の手をとった。
あったかいね、そう言えば曽良はそうですね、と言って私の手をぎゅうと握った。
少し痛いけれど、嬉しいから、いい。
曽良が手を離した、なんで、そう言って曽良を見たら、ぽっけを漁っていた。
私が首を傾げる。

「はい、好きでしょう」

そう言って渡されたのは、飴玉だった。
確かに、好きだけど、まさか曽良のぽっけから飴玉が出てくるなんて。

「舐めないんですか」
「あ、ううん、ありがとう」

そう言って飴玉の包装をはがして口に放り込むとレモンの味が口に広がった。
私がニッと笑うと曽良も嬉しそうに笑った。