死んではくれないか、突然妹子に言われて、え。と私は止まった。
すると妹子はニッコリ笑った。

「えーと、罰ゲーム、なんだけど止まっちゃったね」

罰ゲーム、と私が繰り返す、妹子はうん、と頷いた。
そして妹子は、ばか太子との罰ゲーム、悔しくも負けた、と少しも悔しそうにしないで言った。
妹子は感情を隠すのがこんなにもうまかったっけ?
それとも悔しくないのかしら。

「なにその罰ゲーム」

そう私が言うと妹子はへらへら笑って、好きな人に自分のこと好き?って聞くやつだよ。わりと多いだろ?と言った。
え。好き?私はまた止まった。

「は?死ねの間違い?」
「いや、好き」

妹子は相変わらずへらへらしている、妹子はこんなにもへらへらしていただろうか、いや、違う、これは妹子じゃない。

「変装か!」
「うわっ、なにすんだよ」

殴りにいったら頭を叩かれた、痛い、悔しいがこいつ妹子だ。
こんなにあっさり私が負けるなんて妹子だ。

「で、なんで私?」
「え。好きだから」

はっきりと言われて、かあと耳まで赤くなった。
妹子はニッコリ笑った。
嘘でしょ?私が小さな声で言えばいやいやと妹子は笑った。
うわ、どんどん赤くなる気がする。
妹子はどんどんニヤニヤするし、どうなってるんだ。
妹子がなんか変態だ、太子か、あいつのがうつったのか。
私がこくこく頷いていると妹子はねぇ、返事、と言ってきた。

「なんの?」
「俺のこと好きだろ?」

どきり、ちょっぴり強引で変態な妹子が私の心臓を早めた、私が、別に、と答えると妹子はそう、となんだか寂しそうにした。

「え、と…やっぱ好き」

寂しそうな妹子がなんだかいたたまれなくて、私は好き、と言った。
妹子の口角があがった。
しまった、ハメられたのだ。

「でしょ?」
「う、ちくしょう」
「聞こえないな」

妹子はそう言って私をばかにするように笑った。
悔しくて地団駄踏もうと思ったら、妹子が口を開いた。

「でも、俺も好きだよ」

こんなばかやろうに心臓を早められた、くそ、完全に私の負けだ。