死んじゃえばいいのにね、俺の好きな子ははっきりと俺にむかって言った、え?戸惑う俺に彼女は死んじゃえばいいのに、また言った。
え。ショックをうけて立ち止まると彼女はなに止まってるの、えんま、と俺を呼んだ。
ちょっと待って死んじゃえばいいって、なにそれ、俺がそう言うと彼女はだって、ごもごもと口を動かしたが声はでていなかった。
俺がえ?と聞き返すと彼女はすうと息を吸ってはいた。

「えんま、辛いでしょ」

そう言った彼女の目には涙が、辛い?俺は繰り返した。
みんなを天国に行かせてあげたいってえんま言ったじゃない、辛いよ、って私の名前を呼んで抱き締めたじゃない。
彼女がそう言った。
ばかだなあ、俺は笑った、彼女はむすっと頬をふくらました。

「俺は生きるよ、君のために」

君の優しさが嬉しいよ、そう言うと彼女はニッコリ笑った。

「えんま、手繋ご」
「いいよ」

繋いだ手から伝わる彼女の体温が心地よくて、俺は目を細めた。
彼女は、えんま、私より先に絶対死なないでね、と言った。
俺は死なないよ、そう言えば彼女は安心した、と笑った。
ねぇ、えんま、彼女の小さい声、俺はなに?そう聞く、彼女は好きだよ、そう言ってぎゅうと握った手に力をこめた。
俺もだよ、彼女の髪を優しく撫でた。