大嫌いな奴がいる。
いや、それほど嫌いではないが嫌な奴だ。
気付いてないようだがすごく嫌味ったらしくて、ムカつく。
口が達者だから絶対口喧嘩には勝てない。
しかし、しかしだ。
流石の柳も、私の誕生日の日くらいは優しく、柳生くんのようにジェントルマンになるのではないかと思うのだ。

「私ね、誕生日なの」

ニッコリ笑って言うと柳はなんだそんなことか、と言いたげな顔をして、知っている、と答えた。

「何か頂戴(知ってたのか)」

笑顔で柳に手を出すと柳はしかたない、と言いながら私の手の上に小さな紙をおいた。
私がなんなのか聞くと柳はニッコリ笑って答えた。

「俺のノート一日貸し出し券だ」
「ちょ!まじっすか!(てか準備してあったんだ)じゃ、じゃあ今使います!」

一度受け取った柳のノート一日貸し出し券を柳に渡す、柳は柳のノート一日貸し出し券をひらりと裏返し指でさした。

「紙をよくみろ、今は駄目だ。テスト1週間前は貸し出し券は無効だと書いてあるだろう」
「げ」

柳のノート一日貸し出し券の裏側には小さな綺麗な文字でずらずらとルールが書かれていた。
それはもう細かいことまでちゃんと。
しかも簡潔でわかりやすい、そんな所がまたムカつく。

「いやなやつ!」

きー!と言えば柳はなんとでも言え、そう言って微笑んだのであった。