ブンちゃんが俺の前に立って、おい仁王と俺の名前を不機嫌そうに呼んだ。
なんじゃブンちゃん不機嫌じゃのぅと言えば当然だろぃ、と返された。
また泣かせただろぃ、はて、全然覚えとらん、首を傾げるとあいつだよ、お前の彼女で俺の幼馴染みの、と言われた。

「泣かせとらんよ」
「浮気だって泣いてた」

浮気なんか俺しとらん、そう言うと大人の女と一緒に深夜コンビニに行ってたって、とブンちゃんは言った。
深夜のコンビニなんて姉貴ぐらいとしか行かん、笑えば、ブンちゃんはそれだ!と言った。
それ?なんのことじゃ?

「お前の姉ちゃんをお前の女だと勘違いしてんだあのバカ」
「おー、まじか」

可愛い奴じゃ、けたけた笑うとブンちゃんはちゃんと説明してやれよぃ、と言った。
何をじゃ?聞けば、馬鹿かお前と呆れられた。
なんじゃ?全然わからん。

「お前って結構鈍いよな」

ブンちゃんに言われたかなか、そう言えばブンちゃんは俺もお前には言われたくねぇと言われた。
鈍いつもりなんかなか。
ぷんすかしてるとほら来たぜ、と言った。
おう、来たぜよ。

「まさちゃん」

たくさん泣いとったみたいぜよ、目が腫れちょる。
可哀相なことしたのぅ、俺は彼女を抱き締めた。
まさちゃん、また彼女が俺の名前を呼ぶ、すまん、そう言えば彼女は泣き出した。
俺がおろおろしていると見兼ねたブンちゃんが彼女の頭を撫でながら仁王は浮気してねぇって、と言った。

「え」
「姉ちゃんだってさ」
「よ、か、った」

ブンちゃん泣きやますのプロじゃ、俺が感動しているとブンちゃんが仁王からも言えよ、と言った。

「ああ、あれは姉貴ナリ」
「そ、なの、私、勘、違いして、ごめんね、まさちゃん」

嫌な思いさせちゃった、と謝る彼女の額にキスをした、大丈夫ナリ、そう言って笑えば彼女も涙でぐしゃぐしゃな顔で笑った。
ブンちゃんもよかったよかったと安心したみたいだった。

「よしケーキバイキング行こう!」

ブンちゃんが叫んだ。
うん!彼女が頷いた、ええ、まさちゃんも?と聞けば当然だろぃ、とブンちゃんにいい笑顔で言われた。
ケーキバイキング、俺前にブンちゃんと行った時1つでギブアップして全然もと取れなかったナリ、嫌な思い出ばっかりナリ!と言えばブンちゃんは大丈夫、と笑った。
仁王のぶんは俺が喰う!きらきらブンちゃんは輝いていた。
俺ははあと溜息をついた、こんなに輝いとるブンちゃん初めてぜよ。
テニスしとってもこんな輝かんのに、ケーキ、恐ろしい食べ物じゃ、俺がケーキを恐ろしがっているとブンちゃんと俺の彼女が手を繋いで歩き出した。
ちょ、ちょちょちょちょっと!
くるり、二人が振り返る。
二人だけ手繋ぐなんてずるか!俺も!と言えば二人はニッコリ笑ってうんと返事した。
二人のところまで走って彼女の手をとる。

「まさちゃん」
「なんじゃ」
「ケーキバイキング楽しみだね」

彼女の笑顔に負けて、うんと答えた、ブンちゃんも笑っていた。
ケーキバイキング、恐ろしか。