ジローは、私を優しく抱き締めた。

「ひと、りで、がん、ばるって、決めた、けど」

私が、言葉につまっているとジローはとんとんと背中を子供をあやすように叩かれた。

「中、入っていい?」
「うん」

ジローは私を抱き締めたまま中に入って来た、もう、大丈夫。と言えばジローは笑って離してくれた。

「なにかあった?」

ジローは優しい顔してた、私は涙を流しながら、全部、話した。
途中、声が、言葉がでなくなったときも、ジローは優しく頭を撫でてくれた。

「メールも、した、けど、ごめん、って」

ぴたり、ジローの手が止まった。

「ジロー…?」

私が首を傾げるとジローはなんでもない、と笑った。
私は反対の方向に首を傾げる。
ジローは私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
私は涙を拭って、ジローにありがとう、と言った。

「いつ、も、ジローの優しさに頼って、ごめんね、」

私が謝るとジローは複雑そうな顔して、謝るなよ、と言った。
私はそれでもなんだか申し訳なくて、俯いた。
ジローは、顔あげて、と言った、ゆっくり、顔をあげると笑顔のジローがいて、なんだから泣きたくなった。
ジローは、がっくんと話せるように俺からも頼んでみる、と笑った。

「ジロー!」

抱き付くとジローはよしよしと私の頭を撫でた。
私は泣きそうなのを必死に堪えた。

「泣きたい時は、泣けばいいよ、」

泣きたいんだろ?ジローは私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
私は思い切り泣いた。

「む、むか、ひ、くんと、話、がした、い」
「わかった、俺がなんとかする」

ジローはそう言って、立ち上がった。
帰るの?小さな声でジローに話しかける、ジローは、帰ってほしくないの?と笑った。
これ以上、ジローに迷惑かけたらだめ、だ。
私は、大丈夫、と答えた。
ジローはなんだか寂しそうな顔して、そっか、と答えた。

「じゃあ、帰る」
「あ、りがと、ジロー」

ジローはニッと笑って、私の家を出ていった。
私はジローに手を振る、ジローも、手を振り返してくれた。