次の日、私は普通に学校に行って、普通にしていた。
でも、どきどき、してた、向日くんに気持ちを伝える、から。
もしかして、向日くんが私に告白した時、向日くんは今の私と同じくらいどきどきしてたのかな。
気持ちを伝えるって、大変なことなんだな、私は初めて気付いた。
放課後、テニスコートへ私は走った、走って走って、ついて、私は向日くんを探した。
探しても探してもいなくて、私は肩を落とした。
でも、こんなことで諦めちゃいけない、私は気合いをいれなおして、向日くんの教室へ行った。
向日くんは鞄にノートを入れて帰り支度をしているところだった。
幸い、もう放課後になって時間がたっていたから、教室には向日くん以外誰もいなかった。

「向、日くん」

私は廊下から声をかけた、向日くんはびっくりした様子で私の方を見た。
言葉がでてこない、どうしよう、私が困っていると、向日くんはてくてくと鞄を持って歩いてきた。
どくん、心臓が脈打つ。
言わなくちゃ、向日くんのこと、好きって。

「あの「俺のことが苦手なんだろ、もう、関わらないから、安心しろ」

そう言って向日くんは通り過ぎていった。
関わらない、それって別れるって、こと?
ねぇ、ねぇ、向日くん。

「向日くん」

振り返って小さな声で向日くんを呼ぶ、私の小さな声は今の向日くんには届かなかった。
私はその場に蹲った。
向日くんには、私の声が、届かなかった。
泣きたい、けど、泣いちゃだめ、だ。
取りあえず帰ろう、帰って、考え、よ、う。
泣くのは、あとでだ。
そう決めたのに、涙が、止まらない。
拭っても、拭っても、止まらないよ。
誰か助けて。
駄目だ、誰かに頼ったら、私、いつもジローの優しさに頼ってる。
一人で、やろう、うん。
走って家まで帰った。
リビングでソファに座って、考える、これからどうするか。
とにかく、向日くんと話そう、そして、言おう、好き、だって。
でも、もう関わらないって、言ってた。
話して、くれない、かもしれない。
そうしたら、どうしよう。
話したい、メール、しようか。
携帯を取り出して、画面と睨めっこ。

『会って、話したい』

打って、送った。
お願いします神様、向日くんが見て、返信、いい返事くれますように。
少しして、返信があった。
私は急いでメールを見る。

『ごめん、』

やっぱり、だめ、だった。
涙がほろり、気付かぬうちに流れてきた。
携帯の画面が見えなくなってきた。
ぎゅうと携帯を握り締める。
こんなの、いやだよ。
こんな終わり方やだよ。
ピンポーン、インターホンがなった、玄関へ走る、ドアを開けるとジローが立っていた。
一人で頑張ろうって決めたけど、辛い、よ。
ジローが、にこりと笑って、泣きたいなら、泣きなよ、と言ってきた。
涙が零れてきた。

「ジロー…!」

思い切りジローに抱き付く、ジローは頭を撫でてくれた。