私は一生懸命考えた、向日くんのこと。
好き、なのかな、それとも好きじゃないのかな、好きってなんなのかな。
いっぱいいっぱい考えてたら目の前に向日くんがいた。

「向日く、」

呼んだけど、向日くんは振り向きもせずすぐ曲がってしまった、聞こえなかった、のかな。
それとも、私、避けられてる?
それから放課後になって、向日くんをまた見掛けて呼ぼうとしたけど、またすぐ消えてしまった。
やっぱり、私、避けられてる?
どうしよう、苦手って言ったから、嫌われた、のかな。
当然、だよ、ね。
私は授業にでないで屋上に行った、屋上で体育座りをする、向日くんは、私のこと嫌いになったんだよね。
泣きそうなのを必死に堪えた。
チャイムがなって、授業が終わった、私ははあと溜息をついて、教室に戻った。
教室に戻って、外を見る、空は、雲ひとつなく、青かった。
先生の話が終わって、みんなが帰り出した頃、私は机に突っ伏していた。
私、これからどうすればいいんだろう。
考えても考えても答えがでなくて、帰ることにした。
帰り道、向日くんがいたけど、私は何も言えなくて、いつの間にかどこかへ行ってしまったようだった。
そうか今日は部活ないってジローが言ってたな。
家につくと、やっぱり誰もいなかった。
一人リビングでソファに座る。
はあ、溜息をひとつついて、ソファに横になる。
涙が、溢れてきた。
向日くんに嫌われちゃった、ただそれだけのことなのに、なんで涙が止まらないんだろう。
人に嫌われるのなんか、慣れてるはずなのに。
気がついたら、私は寝ていた。
どたどた、人が走る音がして私は目覚めた。

「だれ…?」
「起こしちゃったか」

起き上がると、ジローが私の毛布を持ってそう言った。
私は、なんでいるの?と聞くと鍵あいてた、と笑った。
私、鍵閉め忘れてたんだ。

「寝ててもEーよ」

そう言ってジローは毛布を私にかけた。
ありがとう、と言って笑うとジローは私の目の前に座った。
そして泣いてた?とジローは私に聞いた。

「…ううん、泣いて、ないよ」
「嘘つき」

びくり、肩が跳ねた。
ジローは優しい顔をして、目はれてるよ、と言った。

「ジローには、隠し事できないな」

ジローはニッと笑った。
そして隠し事なんて、するなよ、と言った。
私はジローがそんなこと言うなんて思ってもなかったから、おかしくって、笑った。
するとジローも安心したように笑った。

「で、なんで泣いてたんだC」

ぎくり、びくり、肩が跳ねた。
ジローは真剣な顔していた。

「あの、ね」

私はジローに話した、向日くんに避けられちゃってること、嫌われちゃったこと。
また、涙がぽろぽろ零れてきた。
ジローは私の隣りに来て、頭を撫でてくれた。
全部話したら、ジローが、やっぱり、がっくんのこと好き、なのか?と聞いてきた。

「わからない…」
「なあ、がっくんじゃなくて、」

そこまで言って、ジローは黙り込んだ。
私は首を傾げる。

「なんでもない(俺じゃだめか、なんて言えねぇや)」

ジローは笑った、何か隠すみたいに、私は反対の方向に首を傾げる。

「ジロー何か隠してる?」
「聞かなくてEー事もあるってことだよ」

ジローは笑いながらぐしゃぐしゃと私の頭を撫でた。
聞かなくていいこと?そう聞き返すとジローは内緒だCと言った。

「てかやっぱおめぇがっくんのこと好きなんじゃねぇの?」

ジローはそう言ってお菓子お菓子とどこからかお菓子を取り出して食べはじめた。
私は首を傾げる。

「すき、なのかな」