愛してるって言ったって、彼は私を愛してくれるはずないんだから、言わなくてもよくない?
私は目の前で欠伸をした鬼男に言った。
鬼男は顔色ひとつ変えずに、そうか?と聞いてきた。
そうよ、そう。と自分に言い聞かせるみたいに答えた。
鬼男は少し考えてから、まあ、人それぞれだろ、好きって告白すんのも、しないのも、と尤もらしい答えを導き出した。
私はニッコリ笑う、そして正論ね、と言って目の前の書類に目をおとす。
そして書類に書いてあることを上から下まで見ると、判子をぽんと押す。
すると鬼男が判子を押した書類をするりと取り上げ、言った。

「お前最近仕事しすぎだよ」

私はどっかの馬鹿上司が仕事しないからよ、と笑う。
鬼男は顔をしかめた。

「言っておくよ」

そう言って、鬼男は書類を私に返した、ありがとうと言って次の書類を手にする、鬼男は、でもさ、やっぱり働きすぎだよ。と言って私の目をジッとみつめた。
私はじゃあどうしたらいいの、と言えば俺と花畑にでも行こうよ、と言われた。

「なにそれ」
「だから、デートしようよ」

は、なにそれ。そう言って書類に目を通して判子を押す、ぽん。次の書類も見る、ぽん。ぽん。ぽん。

「ねぇ、どきどきしてるだろ」
「は、してないし」

ぽん。ぽん。ぽん。

「してるよ」
「してない」

ぽん。ぽん。ぽん。
どきどきなんか、してないもん。
書類から目を離さずそう言って、また判子を押した。

「嘘つき」

鬼男は笑っているみたいだった、私は書類から目を離さない。

「何故私がどきどきしてるって言えるの?」
「だって」

顔真っ赤だよ、鬼男は笑っていた、私はハッとして両頬に手をくっつける、ばか、私のばか。

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リベンジ成功…?
鬼男は書きにくいっていうか難しい。
うーん、でも書くの楽しかったのでいいです。