※死にたがり仁王


















まさちゃんは死にたい、と言って今日も屋上へきました。
わたしもまさちゃんのことがとても心配なのでついてきました。
まさちゃん、そう呼んで小さな手でまさちゃんの腕を掴みます。
まさちゃんはくるりとわたしの方を見て微笑んで、わたしの頭を撫でた。

「しんだらやだ」

ぽろぽろ涙が零れてきて、まさちゃんを掴む手に力が入ってきて、離すまいと、離してなるものかと思った。

「まさちゃんがいなくなったら、やだ」

ぽろぽろ、ぽろぽろ、涙が次から次へと零れる。
まさちゃん、まさちゃんとまさちゃんに声をかける。
まさちゃんは少し驚いたような顔をして、でも微笑んでて、もう、わけわかんなかった。
でも、わたしはまさちゃんがしななければいいと思った。

「まさちゃんがいなくなったら、わたし、わたし…どうしたらいいの、なんで、しんじゃおうと思うの」
「死んでリセットしたいんじゃよ、多分の」

まさちゃんはそう言ってフェンスの近くまで歩いてフェンスを掴んだ。

「死はリセットなんかじゃない!まさちゃんのばか!!!終わっちゃうんだよ?しんだら、や、だよ、…ま、さちゃ…」

泣き崩れてしまった、もうわけわからなくて。
でも確かにしんでほしくはなくて、生きてほしくて。
死はリセットなんかじゃないって、わたしは思ってて叫んだ。
そしたらまさちゃんはわたしの方見てぽろぽろ泣き出した。

「  」

わたしの名前を呼んで、まさちゃんも泣き崩れました。

「まさちゃん」

わたしはまさちゃんの近くへ走って行ってまさちゃんをぎゅうと抱き締めました。
小さな小さな体で力いっぱい抱き締めました。
まさちゃんは小さくなって震えていました。

「わたし、ずっとまさちゃんのそばにいるから」
「  」
「まさちゃん、しなないで、苦しくても、生きて、」
「  」

これはわたしのエゴだと思う。
けど、生きて生きて、生き抜いてほしかった。

「もう、しぬなんて言わん」

そう言ったまさちゃんの目には決意がみえて、わたしはまた涙がぽろぽろ零れてきた。

「まさちゃん、生きててくれてありがとう、」

そう言ったら、まさちゃん、また泣き出して。
でもすぐ泣きやんで、わたしのことぎゅうううって抱き締めて、これからも生きる、二人で。って言ってくれた。
生きよう、二人で。